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頻尿・尿漏れを自力で治すために絶対やってほしいこと6選

[2024.04.23]

はじめに

私は、年間3万人の患者様を診察しています。多くの患者様にお会いして感じることは、『自力』で治すということができれば、患者様にとってより良い治療となるのではないかということです。薬に頼ることが少なければ、副作用の心配もなく、経済的な負担もなく健康を維持することができます。そういった観点から私は『自力』を引き出す方法を一人でも多くの方にお伝えしていきたいと思います。

 

頻尿とは

今回のテーマは、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでも相談が多い頻尿』です。頻尿の定義は、朝起きてから就寝までに排尿回数が8回以上あると頻尿といいます。 もちろん、その日の体調や水分摂取量、食事内容などによっても変わりますので必ずしも8回以上で頻尿と断定することはできませんので個人差もありますが、幅広い年代の方が頻尿の悩みを抱えています。

頻尿は自力で治せる?

頻尿とひとことで言っても原因によって、自力で治せる場合とそうでない場合があります。
例えば膀胱がん前立腺肥大尿管結石などの原因となる疾患があり頻尿になっているという場合は、病院での治療が必要となります。また、糖尿病の場合には、多飲多尿となる傾向にありますので、糖尿病の治療が必要となります。
そういった頻尿を引き起こす原因疾患がない場合であれば、本来、膀胱には約200cc、コップ1杯程度の尿を溜めることができます。
頻尿に悩む方は、膀胱に少量の尿しか溜めておけない状態です。例えば、100ccしか溜めることができないとなると、それだけ頻繁に排尿する必要があります。そういった膀胱に尿を溜めることができないタイプの方は本日お話しする「自力で頻尿を治す6つの方法」を試していただくことで改善が期待できます。

ここで「自分は尿を溜められるタイプかどうかをどうやって知ればいいのか?」という疑問を持たれると思います。ご自身が尿をどのくらい溜めることができるかを知るには、『排尿日誌』を記録していただく方法があります。インターネットで排尿日誌と調べていただければダウンロードできますので、一度記録をつけてみることをおすすめします。

では、いよいよ「自力で頻尿を治す6つの方法」についてお話を始めたいと思います。

自力で治す方法その① 膀胱訓練

膀胱は、尿を溜めるタンクのようなもので、膀胱の平均的な容量は300~400ccほどと言われます。膀胱に尿が200ccほど溜まると尿意を感じる仕組みになっていますが、頻尿の方は尿意を感じる量が150ccや100ccと少なくなっています。膀胱訓練は尿意を感じた時にトイレに行くのを少し我慢するという方法です。例えば、毎回100mlで尿意を感じる方が、尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、5-10分待ってからトイレに行くと120-130mlの尿が溜まったところで排尿することになります。これを繰り返すことで何が起こるかというと、膀胱は『この人は100ccではおしっこに行かないんだ...130cc溜まらないとおしっこに行かないんだ』と認識して、『この人に尿意のサインを出すのは130ccからにしよう』といった感じで膀胱訓練を続けることで、膀胱が尿を溜めることができる容量が少しずつ増えていき、頻尿が解消できます。「ホント??」と思う方もいるかもしれませんが、膀胱訓練は泌尿器科学会のガイドラインでも推奨されています。

ですが、女性の場合、長く我慢しすぎると膀胱炎になるリスクがありますので注意が必要です。例えば、女性が1時間トイレを我慢すると細菌が増えやすくなり感染を起こし、膀胱炎になることがありますのであくまでも膀胱訓練は、いつもより5分10分長くというのが基本です。

自力で治す方法その② 骨盤底筋体操

骨盤底筋は、骨盤の底の筋肉で膀胱や子宮、直腸などの臓器を下から支え、排尿、排便のコントロールをする役割を担っています。骨盤底筋は、骨盤底筋群と呼ばれ、肛門括約筋(肛門を締める筋肉)、膣括約筋(膣を締める筋肉)、尿道括約筋(尿道を締める筋肉)が繋がっています。骨盤底筋体操は、肛門をキュッと締めて緩めるという動きをゆっくりと繰り返し、1日10回を3セット継続していただくと徐々に頻尿が改善していきます。肛門を締めることで骨盤底筋全体が鍛えられ、尿道の筋肉を締めることができて、膀胱からの尿意が弱まります。分かりにくいという方は、おしっこをしている途中で止めた時にキュッと閉まる感じがする場所が骨盤底筋ですので試していただければと思います。

自力で治す方法その③ 痩せる

あまり知られていないと思いますが肥満は頻尿の原因となります。BMIが27以上の方は、それ以下の方に比べて頻尿リスクが1.5〜2倍になると言われています。肥満になることで骨盤が少し広くなってしまい、それに伴い骨盤底筋がうまく働かなくなります。また、内臓脂肪がつくと膀胱を上から圧迫するようになり尿意を感じやすくなる傾向にあります。BMIが27以上の方や、最近少し体重が増えたなという方は、食事や運動、生活習慣を見直し、適正体重を心がけることで頻尿が改善する場合もあります。もちろん、痩せるということは簡単ではありません。私自身も適正体重の重要さから、アメリカやヨーロッパでダイエット薬として認められたGLP-1受容体作動薬のオゼンピックを使用して9kgの減量に成功しました。オゼンピックは自由診療ではありますが、自己管理でのダイエットが難しいという方は、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックに相談ください。

自力で治す方法その④ 水分を控える

最近では健康のため1日2L以上の水を飲むという人も多くいますが、頻尿が気になる方は水分を控えれば、それだけ出ていく分も減るということになります。しかし、水分量を減らしすぎると脱水が起きて血液がドロドロになり、血糖値も高くなり、皮膚も乾燥し感染を起こしやすくなるなど、健康障害を引き起こす可能性があります。水分を控える目安として尿の色が薄い黄色になる程度の水分量がよいと泌尿器科学会も推奨しています。尿の色が濃い黄色になるほど水分量を減らすのは健康障害を招く恐れもありますので適正な水分量を守りつつ、摂りすぎには注意するようにしてください。

自力で治す方法その⑤ 膀胱を温める

冬の寒い日にトイレが近くなるといった経験をお持ちの方も多いと思います。これは、膀胱が冷えると血液の流れが悪化し、膀胱のパフォーマンスが低下するために起こります。
心臓を例に考えてみると、心臓に血液が流れないと心筋梗塞が起き、心臓の血管が詰まって死を招くことになるように、膀胱も同様で血流が悪化すると尿を溜めるという働きが十分に機能しなくなります。そのため寒い環境下では、頻繁にトイレに行きたくなりますが、尿量はほんのわずかという現象が起きます。
私たちの体を作る臓器は血液が十分に流れることでパフォーマンスを発揮します。体を温めると血管は拡張し血液循環が良くなります。寒い時はお腹に腹巻きやカイロを入れて温めるとダイレクトに膀胱を温めることができますので是非、試してみてください。

自力で治す方法その⑥ アルコール、カフェイン、辛いものを控える

アルコール、カフェイン、辛いもの全てが、膀胱刺激症状を引き起こし、膀胱が過敏に反応するようになります。
普段の状態なら、200ccの尿を溜めることができる膀胱の容量なのに100ccや150ccなどの少ない量で早めに反応してしまい、尿意を感じるようになります。また、カフェインやアルコールは尿量を増やす利尿作用があるので尿が溜まりやすくなってきます。尿がどんどん増えてくるのに膀胱の容量が少なくなっているため直ぐに尿意を感じるので頻尿になるのは必然と言えます。辛いものに関しては膀胱刺激症状のみですが、膀胱が敏感になる傾向にあります。アルコール、カフェイン、辛いものをお好きな方で頻尿に悩んでいるという方は、少し控えていただけると頻尿が改善してくると思います。

終わりに

今回は頻尿を自力で治すということをテーマにお話しました。どれも直ぐにでも始めることができる方法ですので出来ることから試していただけるとよいと思います。しかし、冒頭にお話ししたように頻尿の原因が何らかの疾患にある場合もありますので、これらの方法を試してみても頻尿が長く続いているという方は、安心のためにも一度検査を受けることをおススメします。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、超音波検査やCT検査も備えているため、頻尿に対しての詳しい検査を行うことができます。頻尿や尿漏れにお悩みの方は当院の泌尿器科専門医にどんなことでもお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

 

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