水道水に潜む「見えないリスク」とは?〜PFASと健康への影響〜
はじめに
私たちの⽣活に⽋かせない⽔道⽔。⽇本の⽔道⽔は世界的にも⾼い安全性を誇っていますが、近年、⼀部の地域で⽔道⽔中に有害な化学物質が含まれている可能性が指摘されています。
特に注⽬されているのが、PFAS(ピーファス)と呼ばれる有機フッ素化合物です。この記事では、PFAS の特徴や健康への影響、そして私たちができる対策について皆様に分かりやすく説明させていただきます。
1 PFAS とは何か?
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、炭素とフッ素が強く結びついた有機フッ素化合物の総称で、1 万種類以上が存在するとされています。
その中でもPFOS やPFOA は撥⽔性や耐熱性に優れ、フライパンのコーティング、防⽔加⼯、泡消⽕剤などに広く使⽤されてきました。
しかし、PFAS は⾃然界で分解されにくく、環境中や⼈体に⻑期間残留する「永遠の化学物質」として知られています。
2 健康への影響
PFAS の⼀部は、国際がん研究機関(IARC)により発がん性があると分類されています。例えば、PFOA は「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」、PFOS は「可能性がある(グループ2B)」に該当します。
また、コレステロール値の上昇、肝機能や甲状腺への影響、免疫⼒の低下、出⽣時体重の低下などとの関連も報告されているのが現状です。
3 ⽇本におけるPFAS の検出状況
⽇本国内でも⽔道⽔や河川、地下⽔からPFAS が検出される事例が相次いでいます。環境省の調査では、全国の1258 地点のうち、111 地点で暫定⽬標値(PFOS+PFOA 合計50ng/L)を超過しています。
岡⼭県吉備中央町では最⼤でその28 倍が検出され、飲⽤制限措置が取られたこともあります。
4 東京、新橋地域の現状
東京都では、⽔道局が定期的にPFAS の検査を実施しており、新橋地域を含む都⼼部においては現在のところ暫定⽬標値を超過した事例は報告されていません。
5 泌尿器科、消化器科の専⾨的な視点から
PFAS は、肝臓や腎臓、膀胱など、消化器系・泌尿器系の臓器に影響を及ぼす可能性があるとされており、近年注⽬が⾼まっています。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、PFAS に関する検査や診断を直接⾏っているわけではありませんが、腎機能や肝機能、消化器・泌尿器の異常がないかを確認するための⼀般的な健康チェック(⾎液検査・尿検査・内視鏡検査など)には対応しております。
- 「最近、尿の回数が多い・⾊が気になる」
- 「健康診断で肝機能の数値が悪かった」
- 「なんとなく体調がすぐれないが、原因が分からない」
このようなお悩みがある⽅は、まずは体調の変化に⽬を向けることが⼤切です。
6 私たちにできるPFAS 対策
6-1 浄⽔器の導⼊
活性炭やRO 膜(逆浸透膜)を使った浄⽔器はPFAS 除去に有効と⾔われています。浄⽔器のフィルター交換を定期的にすることも⼤切です。
6-2 ⽔の使い分け
飲料や調理には浄⽔を使い、⾚ちゃんのミルクや炊飯などには特に配慮をするようにしましょう。⼀⽅でお⽫を洗う、洗濯をするなどの際には⽔道⽔を使うなど上⼿に使い分けをすることが⼤切です。
6-3 PFAS を含む可能性のある製品の⾒直し
コーティングが剥がれて中の⾦属が露出したフライパンは買い替えを検討、防⽔加⼯の⾐類は「PFAS フリー」や「⾮フッ素加⼯」と明記されたものを選択、撥⽔・耐油加⼯された使い捨て⾷品容器などは使わず、PFAS フリーのものを選ぶなど無理せずにできるところから取り組んでいくのが良いでしょう。
テイクアウト時に⾃分の容器を持参するなどの対策はPFAS の摂取リスクを減らすだけではなく、地球環境を守ることにも繋がりますね。
6-4 情報収集
⽔質情報は東京都⽔道局サイトなどで確認が可能です。PFAS を完全に避けることは難しいですが、居住地域の情報を把握しておくことはご⾃⾝の安⼼にも繋がります。
6-5 定期的な健康診断
PFAS は症状が出にくいため、定期的に健康診断を受けることは⾮常に⼤切です。
おわりに
⽔は命の源です。毎⽇使う⽔だからこそ、少しの意識と⼯夫で健康リスクを⼤きく減らすことができます。だからこそ、⾒えないリスクにも正しく向き合い、予防と対策を意識していくことが⼤切です。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、おなかの不調や便通の異常、排尿に関するお悩みなど、消化器・泌尿器両⽅の分野で診察を⾏っています。胃カメラや⼤腸カメラ、CT検査なども⾏っておりますので、気になる症状がある⽅はどんなことでも当院にご相談ください。

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。