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前立腺肥大症の症状・原因・検査・治療について

前立腺肥大症と聞いてどのようなことを想像するでしょうか。「おじさんがかかる病気」「尿が出にくくなる」「頻繁にトイレに行ってしまう」など様々だと思います。前立腺肥大症の正確な知識を知っていただくためにこのページを作りました。最新の前立腺肥大症ガイドラインを参考に作っております。皆様の前立腺肥大症の理解の助けのひとつになると幸いです。

1.そもそも前立腺とは

前立腺は図のように膀胱の隣に位置し、尿道を囲むような位置にあります。つまり前立腺は尿道の一部です。
そもそも前立腺とは何をする臓器なのでしょうか?前立腺は前立腺液をつくります。前立腺液は精液の一部です。前立腺の機能はそれだけです。前立腺の働きはほんのわずかですが、癌を発症する恐れがあったり、加齢と共に肥大して排尿トラブルに悩む方は多いのです。こういったことを考えると前立腺は悪いことしかしない非常に憎たらしい臓器とも言えますね。

2.前立腺肥大症の症状と進行パターン

前立腺肥大症の3つの主な症状と進行パターンをここでご紹介します。

2-1排尿障害(尿を出す勢いが悪い)

前立腺肥大症の初期症状として排尿の勢いが悪くなります。図のように尿道の一部分である前立腺が肥大してしまうと尿道を圧迫し尿道を狭くします。そうすると尿を出す通り道が狭くなるので、必然的に尿を出す勢いが悪くなってしまいます。

2-2頻尿(尿の回数が多い)

前立腺肥大症の方は、尿の勢いが悪くなった後に頻尿の症状が出てきます。頻尿とは尿の回数が多くなる事を言います。前立腺肥大症になると尿道が狭くなるので、膀胱が一生懸命尿を押し出そうとします。そうすると、膀胱の神経と筋肉が過敏になり、少しの尿量しか溜まっていないのに尿をしたくなってしまいます。また、前立腺肥大症があることで、大きくなった前立腺が直接膀胱を刺激して膀胱刺激症状が起きて、頻尿になります。

2-3尿閉(尿が全く出なくなる)

前立腺肥大症が進行すると、尿の勢いが悪くなったり、尿の回数が多くなったりして、最終的には尿が全く出なくなってしまいます。この状態を尿閉と呼びます。長年の前立腺肥大症によって、膀胱が尿を出そうとして一生懸命頑張って疲れてしまい、膀胱の筋肉がほとんど動かなくなってしまいます。その結果、尿が全く出なくなってしまった状態です。
前立腺肥大症の初期の状態で、内服治療などをしっかり行うと、前立腺自体は大きくなる場合もありますが、膀胱を休めることができるため前立腺肥大症の症状は進行しません。ですので、尿の勢いが悪いと感じたり、尿の回数が多くなった場合は、1回は必ず泌尿器科専門医の受診をお勧めします。

3.前立腺肥大症の原因について

前立腺肥大症の原因は、年齢・遺伝・生活習慣・男性ホルモンによる影響です。この中で唯一コントロールできるのが生活習慣と言えます。一方で遺伝・年齢・ホルモンはコントロールが難しいですよね。次に述べるような生活習慣に気をつけて少しでもリスクを減らしましょう。

  • 喫煙
  • アルコール
  • 偏った食生活、高カロリーな食事
  • 運動不足

最新の研究では、これらの生活習慣が前立腺肥大症を悪化させると言われています。これらの生活習慣を避ける事は、前立腺肥大症だけではなく生活習慣病予防にもつながります。前立腺肥大症の症状を疑う方は、なるべく規則正しい生活を心がけ、食生活に注意する、禁煙、アルコールを控える、適度な運動をする事を意識しましょう。

4.前立腺肥大症の検査について

 

4-1尿検査

尿検査は泌尿器科ではとても大切な検査です。前立腺肥大症を疑った場合の尿検査は、「尿の中に何も異常がないことを確認する」という事をします。前立腺肥大症の場合は、基本的に尿の中に白血球や赤血球など、異常な項目は出てきません。また、悪い細菌や癌細胞も見つかる事はありません。一方、前立腺肥大症に似た症状で、尿路感染症や膀胱がんがありますが、これらの病気は尿検査で異常が出てきます。まず初めに尿検査をすることで疑う病気を判別します。

4-2採血検査

採血検査は、主に腎臓の機能、炎症反応(身体に細菌感染がないか)、前立腺がんのマーカー(PSA)を測定し、前立腺肥大症として矛盾がないか判断します。前立腺肥大症でもPSAは上昇しますので、超音波検査にて前立腺の大きさとPSAの値を見て、総合的に診断します。

4-3超音波検査

エコーで観察出来る前立腺肥大症

超音波検査は、前立腺肥大症の診断には欠かせない検査となってきます。お腹にゼリーを塗って器械をあてることで前立腺の大きさを測ります。前立腺の大きさや前立腺の形は、CTよりも超音波の方が細かく観察することができます。超音波検査は身体に害のない、そして非常にたくさんの情報を得ることができるとても有用な検査です。

4-4尿流量動態検査

尿流量動態検査も、泌尿器科の検査ではとても大切な検査です。患者様に、膀胱に尿が十分溜まった状態で、センサーがついている検査トイレでいつも通り尿をしていただきます。尿流量動態検査は尿が出るスピードを測ったり、排尿の時間と量とスピードをグラフにしてくれますので、前立腺肥大症か否かの診断ができます。前立腺肥大症だと、ある一定の瞬間から尿のスピードが出なくなります。詳しくは泌尿器科専門医がUFM検査の説明をさせていただきます。

4-5CT検査

CT検査は多少の被曝はありますが、体の中の情報が非常に多く分かる有用な検査です。特に泌尿器科では腎臓の癌や、尿管結石を診断するには非常に有効です。前立腺肥大症を疑って CT検査をすることはありませんが、尿管結石などの可能性がある場合はその可能性を否定するために、CT検査をすることもあります。

4-6排尿日誌

排尿日誌も泌尿器科では非常に大切な検査になってきます。24時間を通して、1回ごとの尿量を記録していただきます。また、24時間を通して摂取した水分量も合わせて記録することで、その方の排尿機能や膀胱機能の状態が分かります。その方が1回に50 mlしか膀胱に尿を溜められない方なのか、1回300 mlも膀胱に尿を溜める事ができる方なのかを判断することで膀胱の機能が分かります。

1回の尿といっても、50 mlの状態と300 mlの状態では、治療の内容が全く変わってきます。50 mlしか溜められない状態だと、膀胱が正常に機能していない膀胱蓄尿障害という状態と判断します。逆に 300 ml以上溜められる状態だとその方の膀胱機能は問題なく、飲水量が多いために起きる頻尿ということになります。

5.前立腺肥大症の治療について

5-1内服治療

前立腺肥大症の治療は基本的には内服治療になります。内服治療をすることで、前立腺肥大症の症状が改善します。
尿の勢いが悪い排尿障害には、α1ブロッカーやタダラフィルなどが使われます。尿の回数が多い頻尿の症状にはβ3作動薬や抗コリン薬などが使われます。頻尿の症状がさらに強い場合で薬で改善しない場合はボツリヌス毒素(ボトックス)の膀胱壁内注入療法を行う場合もあります。また、前立腺自体の大きさを縮小するお薬もあります。
当院では、前立腺肥大症に関しての薬は、最新のガイドラインに沿って処方しております。

5-2手術治療

内服薬が有効でない場合、外科的に治療する場合もあります。一般的には、前立腺の体積が40 ml以上の場合が適応となります。40 ml以上の前立腺の体積がある場合でも内服薬で十分コントロールが可能な場合もあります。
手術の仕方は、経尿道的(尿道からカメラを入れる)に手術をする方法が一般的で、電気メスで前立腺を切除(TUR-P)したり、レーザーで前立腺を蒸散させたりして摘出する方法(HoLEP)があります。

入院期間は、手術の方法が進化すると共に短くなってきており、日帰り手術が可能な場合もあります。当院では手術を行っておりませんので、手術が必要と医師が判断した場合は、信頼できる適切な病院をご紹介させていただいております。

6.前立腺肥大症を放置すると

前立腺肥大症を放置、つまり尿の出が悪い状態や尿の回数が多い状態をそのままにすると、知らず知らずのうちに、膀胱が疲れて膀胱の機能が失われ、尿閉(尿が全く出ない)という状態になってしまいます。

尿閉になると、尿道カテーテルという管を常に尿道に入れる必要性が出てくる場合もあります。また、膀胱がん尿管結石でも前立腺肥大症に似たような症状が出ることがあります。前立腺肥大に限らず、膀胱がんや尿管結石を放置しておく事も身体には決して良いことではありません。

7.前立腺肥大症かなと思ったら

尿の勢いが悪い、尿の回数が多い、検診で前立腺肥大症を指摘された、PSA値が高いと指摘されたなど前立腺肥大症を疑われた方は、必ず泌尿器科専門医を受診しましょう。泌尿器科専門医による適切な検査と治療を受ける事が大切です。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、前立腺肥大症の検査、診断、治療が可能です。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

8.診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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