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急性膵炎・慢性膵炎の原因・検査・治療について

「膵炎」と聞いてすぐに膵臓は体のどこにあって、どのような病気かを知っている人は少ないのではないでしょうか?

ところがこの膵炎にかかる患者様は年々増加傾向にあり、意外と身近な病気になってきたのです。
本日は膵炎になる原因や治療法など皆様に分かりやすく解説していきます。

1 急性膵炎・慢性膵炎の原因

膵炎とは、膵臓に何かしらが原因で炎症が起きている状態です。
膵臓は胃の裏側にあり金槌のような形をした約15㎝ほどの細長い臓器です。

膵臓は消化作用に不可欠なタンパク質、炭水化物、脂肪を分解するための強力な消化酵素を十二指腸に分泌する働きと、膵臓内に散在するランゲルハンス島から血液中のブドウ糖(血糖)を調節するホルモンを分泌する働きをします。

胃や大腸などといった聞き慣れた臓器ではないかもしれませんが、膵臓は生きていく上で非常に重要な外分泌機能と内分泌機能の2つの役割を担っているのです。

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎がありますが、どちらもアルコールの多量摂取が大きな原因です。
急性膵炎は短期間に起きる膵臓の炎症です。アルコールの多量摂取と女性では胆石が主な原因となり、その他の原因として脂質異常症や薬の副作用によるもの、先天的な異常によるものがあり、原因不明の突発性急性膵炎といわれるものもあります。

慢性膵炎は長期間続いている膵臓の炎症です。7割以上がアルコールの多量摂取が原因とされ、その他の原因として突発性のもの、胆石や先天的な異常によるものがあげられます。

また慢性膵炎は喫煙も原因と考えられています。
慢性膵炎は繰り返し起こる炎症のため膵臓が萎縮し、繊維化し硬くなって、膵石という石ができてしまうこともあります。

2 急性膵炎・慢性膵炎の症状

急性膵炎の症状は腹部の上部からみぞおちにかけての激しい痛み、その痛みは背中にまで及ぶこともあります。

その他嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、発熱などを伴う場合もあり、重症になると意識障害を起こすこともあります。

慢性膵炎の症状は初期症状では飲食後の腹痛ですが、進行するに伴い消化吸収能力が悪化し、下痢嘔吐、腹部膨満感、黄疸などを伴い、糖尿病を合併することもあります。

また、慢性膵炎の患者様は膵臓がんに罹りやすくなるともいわれています。

3 急性膵炎・慢性膵炎の検査

急性膵炎の検査は血液検査、尿検査、CT検査、超音波検査を行います。血液検査や尿検査では膵臓の消化酵素の値などを確認し、CT検査や超音波検査では炎症箇所を画像で確認します。

慢性膵炎の検査も血液検査、尿検査、CT検査、超音波検査となり、画像検査で膵石が確認できれば慢性膵炎の診断となります。

CTで確認できる急性膵炎

また、内視鏡検査やMRI検査で膵管の狭まり具合を調べたり、膵機能検査で膵臓がどの程度機能しているかなどの確認をしたりします。

4 急性膵炎・慢性膵炎の治療

急性膵炎の治療は数日間の入院治療となります。
まず飲食、飲酒をやめて膵臓を休ませ大量の点滴をして血管内に十分な水分を補給します。

また膵臓の酵素の上昇を抑える薬剤や、炎症を抑える抗生物質などの投与を患者様の状況に応じて適宜使用します。

慢性膵炎の治療はアルコールが原因のアルコール性慢性膵炎と診断された患者様については断酒をします。
同時に喫煙をしている場合は禁煙もします。

加えて、痛みの緩和のための内服薬や酵素阻害薬を服用します。
膵管が狭くなってしまっている場合や膵石がある場合は内視鏡を用いて狭窄部を広げる治療や、膵石を取り除く手術をします。

また、糖尿病を合併している患者様はこれらの治療と共に糖尿病の治療も進めていきます。

5 急性膵炎・慢性膵炎の予防

急性膵炎も慢性膵炎も多くの場合過剰なアルコール摂取、長年の不摂生が原因といわれています。
アルコールに次いで膵炎の原因といわれる胆石も、揚げ物や肉類などの脂肪分の多い食事がリスクとなるため、急性膵炎・慢性膵炎の予防には日頃の食生活の見直しが重要です。

慢性膵炎にかかる方は年々増加傾向にあり、慢性膵炎で亡くなる方は男女ともに70歳以下が多くなっています。
「人生100年時代」といわれる現代において非常に短命といえます。

膵臓は沈黙の臓器ともいわれ、慢性膵炎が進行するまで痛みや異常を自覚することはほぼありません。
手遅れになる前に、飲食後にみぞおちのあたりが痛む背中に痛みが走る吐き気があるなど気になる症状がある方は一度検査をしましょう。

また、定期的に健康診断を受けて早期発見に繋げることも大切です。

6 診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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大宮院

池袋院

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