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膵臓がんの初期症状・原因・検査・治療について

膵臓がんは膵臓にできる悪性腫瘍のことです。膵臓は沈黙の臓器と言われ初期では症状がないことが多く、診断した時点で既に進行した状態で発見されるケースが大半を占めると言われています。とても恐ろしい臓器であります。

現在膵臓がんを早期発見する方法に関して定まったものはありませんが、膵臓がん発症のリスクが高いとされている人に定期的に検査を行っていくことが重要と考えられます。

この記事では膵臓がんの早期発見のために知っておきたい膵臓がんの初期症状、原因、検査、治療法について専門医が詳しく解説しますので参考にしていただければ幸いです。

1 そもそも膵臓とは何をするところか

膵臓は胃の背中側にある長さ約15~20cmの細長い臓器です。


主な役割は、食べ物を消化するための膵液を分泌する外分泌機能と、血糖値を下げるインスリンやその他様々なホルモンを分泌する内分泌機能があります。

膵臓に炎症や癌ができることで、膵臓の正常な機能が障害されます。

その結果糖尿病になったり、消化機能が弱まることになります。

2 膵臓がんとは

膵臓がんは膵臓にできる悪性腫瘍の総称で、膵臓がんのうち9割以上は膵液が流れる管である膵管に発生する浸潤性膵管がんが占めています。その他に膵嚢胞性病変の一つである膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が癌化した膵管内乳頭粘液性がんや神経内分泌腫瘍が癌化した神経内分泌がんなどがあります。

膵臓がんの10年生存率は5%であり、いかに恐ろしい病気かがわかっていただけるかと思います。

3 膵臓がんの現状

膵臓がんにかかる数は、国立がん研究センターがん情報サービスの統計によると、2019年時点で10万人あたり男性36人、女性33人で、男女ともに増加傾向にあります。

4 膵臓がんの原因・リスク

今のところ膵臓がんの原因に関してはっきりしたことは分かっていません。

膵臓がんの危険因子として知られているものは、膵臓がんの家族歴、遺伝性膵炎、遺伝性膵癌症候群、糖尿病慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、肥満、喫煙などがあります。

このような危険因子を持っている方に対して、定期的検査を行うことが重要と考えられます。

5 膵臓がんの症状について

5.1 腹痛・背部痛

腹痛背部痛は、膵臓がんが進行して膵管(膵液が集まる管)を詰まらせて膵炎(随伴性膵炎)を起こしたり、背中側の神経線維に浸潤することで起こります。
痛みはみぞおちやお腹の左側から背中にかけて、重苦しく張った感じから、うずくまるほどの強烈な痛みまであります。

5.2 食欲不振・体重減少

食欲不振・体重減少は、がん細胞が増えることによる悪液質(栄養不良でやせたり衰弱した状態)や癌が十二指腸に浸潤し食べ物が通らなくなる十二指腸狭窄、膵液の流れが滞ることで消化吸収が不良になることなどで起こります。

5.3 黄疸

黄疸は、膵臓の右側の膵頭部にできた癌が進行し、胆汁の通り道をせき止めることで出現します(閉塞性黄疸)。
症状として白目が黄色くなったり、尿が濃くなったり、便が白くなったり、皮膚のかゆみが出ることがあります。

5.4 糖尿病

糖尿病は、膵臓がんにより正常な膵臓の細胞から作られるインスリンの分泌が低下することで起こります。
膵臓がんがあることで新たに糖尿病と診断されたり、もともと糖尿病がある方は血糖のコントロールが急激に悪くなることもあります。

6 膵臓がんの検査について

6.1 血液検査

血液検査では、膵臓の酵素の値(アミラーゼ、リパーゼなど)であったり、糖尿病の値(HbA1c、血糖値)、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、DUPAN-2、SPan-1)を測定します。


腫瘍マーカーは癌の勢いや進行度を反映すると言われていますが、進行した状態でないと数値が上がらないことも多く、あくまで画像検査が診断の中心となります。

6.2 腹部超音波検査

腹部超音波検査は、体の負担が少なく、検査時間も短いため、膵臓がんを疑った場合の有用な検査法です。


膵臓は胃の背中側にあり、胃や腸のガスの影響を受けると見えづらくなるため、膵臓の全体を詳しく調べることは難しいと言われていますが、膵管の拡張などをきっかけに膵臓がんが見つかることがあります。当院でも超音波検査を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

6.3造影CT検査

造影CT検査は、造影剤を血管内に注射してX線で断層写真を撮ることで、膵臓や体全体を詳しく調べることができます。
C Tでは癌の大きさや広がりを調べることができるため、超音波検査や他の検査で膵臓がんが疑われる場合において、次に考われる検査です。


ただし放射線を浴びる検査になることと、腎臓の機能が弱っている方やヨードアレルギーがある方は造影剤の使用ができない場合があることが注意点です。
造影剤を使用しない単純CT検査では腫瘍と正常な膵臓とのコントラストが付きにくい場合があり、診断に制限があります。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは単純CT、造影CTともに行っております。詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。

6.4 その他の検査

その他の検査としてMRI検査や超音波内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査があります(いずれも当院では行っておりません)。

7 膵臓がんの治療について

膵臓がんの場合は、患者さん自身の体力や健康状態を踏まえた上で、癌が膵臓の近くの主要な血管へ及んでいるか、遠くの臓器に広がっている(転移)かの有無により治療方針が決定されます。


癌が主要な血管に及んでおらず、転移がない場合は、手術が唯一の根治的(完治する可能性のある)治療となります。
最近では手術の前後で化学療法(抗癌剤)を行うことで膵癌が根治する可能性が高まると報告されています。


癌が主要な血管に及んでいたり、転移がある場合には残念ながら根治できる可能性はほぼなく、化学療法(抗癌剤)や放射線治療が選択されます。
そのほか、近年では特定の遺伝子異常が見つかった場合に限り、免疫療法が保険適用となっています。

膵臓がんの治療については詳しくは消化器科専門医にお尋ねください。

8 膵臓がんの予防について

4(膵臓がんの原因・リスク)で述べた危険因子と言われるものを減らすことが重要と考えられます。
具体的には禁煙や適度な運動、減量などの生活習慣の改善と、慢性膵炎やIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)などの持病がある方は定期検査を行うことが大切です。

9 膵臓がんを放置すると

膵臓がんを放置すると、癌は着実に増大するため、前述した症状の悪化や、主要な血管への浸潤や転移などにより、根治的治療が困難となってしまいます。膵臓がんの10年生存率が5%であることを考えると、初期症状が出た時点で必ず受診をした方が良いでしょう。

10 膵臓がんの患者様の経過の例

10.1 58歳男性

2週間前からの尿の黄染、黄疸を認めたため、当院を受診された。
腹部超音波検査と造影CT検査で膵頭部に4cm大の腫瘤と肝臓に多発の腫瘤を指摘され、膵頭部がん、多発肝転移が疑われたため、他院に紹介となった。
他院にて膵頭部がん、多発肝転移と診断された。
手術不能との判断で、内視鏡的胆道ドレナージ術(黄疸の治療)の後に化学療法が行われた。

10.2 70歳女性

5年前よりIPMN(膵嚢胞の一種)の診断で、半年おきに画像検査を行っていた。
定期検査のMRI検査で膵管拡張、膵体部に2cm大の腫瘤を指摘された。
造影CT検査で膵体部がんが疑われたため、他院に紹介となった。
他院にて化学療法の後に手術が行われた。

11 膵臓がんの症状かなと思ったら

1~2か月以上続く腹痛背部痛、食欲不振、体重減少、尿や皮膚の黄染などの黄疸症状、糖尿病の急激な悪化などがみられた方は、必ず一度消化器内科を受診しましょう。


新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、膵臓がんの適切な検査・診断が行えます。
治療が必要な場合は適切な病院へご紹介いたします。


詳しくは当院医師・スタッフまでお気軽にお尋ねください。

12 診療費用

当院は全て保険診療です。初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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