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尿管結石・尿路結石の原因・症状・検査・治療について

尿管結石・尿路結石と聞いてどのようなことを想像するでしょうか。「3大激痛のうちの一つ」「血尿が出る」「一度治ってもまた繰り返す」など様々だと思います。


このページでは、尿管結石・尿路結石について、最新のガイドラインに基づいて詳しく説明させていただきたいと思います。皆様の尿管結石・尿路結石に対する理解の助けになると幸いです。

尿管結石・尿路結石とは

図のように、腎臓から尿道まで、尿の通り道にできる結石の総称を尿路結石と呼びます。結石ができる場所によって呼び名が異なり、腎臓の中にある結石を腎臓結石、尿管の中にある結石を尿管結石、膀胱の中にある結石を膀胱結石、尿道の中にある結石を尿道結石と呼びます。

尿路結石の生涯罹患数は男性では7人に1人、女性では15人に1人と言われております。決して少ない数字ではないことが分かります。
その中でも尿管結石は一番痛みが強く、また罹る方も多いため、このページでは尿管結石を中心に説明していきたいと思います。

尿管結石・尿路結石の種類と症状

腎臓結石

稀に血尿が出る方もいますが、結石が腎臓にあるうちは特に自覚症状はありません。

症状がないからといって放置してしまうと腎臓の中で結石が大きくなり、腎機能に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、定期的な検査が必要です。

尿管結石

超音波で確認できる尿管結石

腎臓から尿管に結石が落ちてくると尿管結石と呼ばれ、血尿とともに、脇腹と腰に激しい痛みが現れます。細い尿管に結石が引っかかり、尿管が拡張するために痛みが起こると考えられています。

痛みの王様とも言われており、その痛みで性格が変わってしまうと言われるくらいの痛みが生じます。また、結石によって尿の流れが堰き止められてしまうため、腎機能の低下を起こすこともあります。結石が膀胱の近くまで落ちてくると、膀胱刺激症状が現れ、頻尿(尿の回数が多くなる)、残尿感、排尿時の痛みなどの症状が現れます。

膀胱結石

超音波で確認できる尿管結石

尿管から膀胱に結石が落ちてくると、膀胱結石と呼ばれます。膀胱結石の症状は血尿と膀胱刺激症状で、排尿時の痛み、頻尿、残尿感などがあります。結石が膀胱まで落ちてくれば、比較的すぐ尿と一緒に体の外に排石されやすくなります。

そのため、適切な量の水分摂取が大切です。またご高齢の方で、尿の勢いが悪い方や前立腺肥大症をお持ちの方は、残尿が多くなってしまうため、膀胱内で結石が作られてしまう場合があります。

尿道結石

膀胱から尿道に結石が落ちてくると尿道結石と呼ばれます。この状態はあと少しで結石が体の外に出る状態ですが、稀に排石されず、結石が尿道に完全に詰まってしまう場合があります。

詰まった結石により尿の流れが堰き止められ、完全に尿が出なくなる状態を尿閉と呼びます。この場合には尿道からカメラを入れて結石を取り除く必要があります。

尿管結石・尿路結石の原因と予防

尿管結石、尿路結石ができる原因は、水分不足、遺伝、不規則な生活習慣などです。尿路結石は、生活習慣病とも呼ばれており、高血圧脂質異常症糖尿病等をお持ちの方がなりやすいと言われています。

また、ご家族の中で尿路結石の既往がある場合は、ご本人も尿路結石にかかるリスクが高いとされています。尿路結石の予防法の一つとしては、水分をしっかり摂ることです。1日2リットル以上の水分( 糖分のないもの)を摂ることを心がけましょう。また、適度な運動をして結石が排石されるようにすることも大切です。

尿管結石・尿路結石の検査

尿検査

尿管結石・尿路結石の検査で、尿検査は非常に大切になってきます。尿の中に赤血球が混じっていないか、つまり血液が混じっていないかを調べます。

尿管や膀胱内に結石がある場合で、尿の中に血が混じらない事はほぼありません。それは結石が尿管の表面や膀胱の表面を傷つけるからです。

また、感染を伴っている場合には尿の中に白血球が検出されますので、感染を起こしていないかの指標とします。

採血検査

尿管結石・尿路結石の診断で、採血検査は非常に重要になってきます。尿路結石がある場合、腎臓の機能(クレアチニン値)がしっかり保たれているかどうかを判断しなければなりません。腎臓の機能が低下している場合、経過観察で待つのではなく、早めに排石に向けて治療した方が良い場合もあります。

また、採血では炎症反応(白血球、CRPなど)を見て感染を合併していないかも診断します。尿路結石に感染が合併している場合は、感染症の治療も必要になってきます。

超音波検査

超音波検査は、身体に害のない非常に有用な検査です。尿路結石の有無、場所、大きさ、腎臓が腫れていないか(水腎がないか)などを診断できます。ただし、結石の場所や大きさによっては超音波で見つけられない場合もあります。

レントゲン検査

レントゲンにうつる尿管結石

レントゲン検査でも結石の有無が分かります。ほとんどの結石はレントゲンで確認できるシュウ酸カルシウム結石です。

ただし、結石の種類や大きさ、場所によっては分からない場合も多くあるので、レントゲン検査で分からない場合は、CT検査を行います

CT検査

CT検査によって尿路結石の有無がほぼ確実に診断できます。単純レントゲンでは確認できない種類の結石も見つけることができます。また腎臓の腫れ(水腎症がないか)なども同時に診断できます。

また、尿路結石だけではなく、腸管の炎症や肝臓、胆嚢、肺なども詳細に観察することができます。CT検査は放射線を使う検査ですが、得られる情報が多いので、尿路結石に対して非常に有用な検査です。

膀胱鏡検査

膀胱内に結石があることを疑った場合は、膀胱鏡検査を行います。尿道からカメラを入れて、膀胱内を直接カメラで観察します。

小さい膀胱結石はクリニックレベルでも摘出できますが、大きな膀胱結石になると、大きな病院で麻酔を使っての手術が必要となります。当院での膀胱鏡は身体に負担の少ない軟性膀胱鏡を取り入れております

尿管結石・尿路結石の治療

保存的治療

尿管結石・尿路結石の基本的な治療は保存的治療です。保存的治療とは、自然に結石が排石されるのを促すことです。水分を多く摂ることを心がけ、たくさん尿を作って、適度な運動をすることで尿管も膀胱も動き、結石が排石されやすくなります。

逆に、寝たきりの高齢者さんの場合だと結石はほとんど排石されません。ご本人が動かないために、尿管や膀胱も動きが悪くなるからです。

具体的には1日2リットル以上の水分摂取(糖分を含まないもの)が推奨されています。

一般的に結石の大きさが5mm以下の場合、自然に排石されると言われております。5mm 〜10mm以内の場合にも自然に排石される場合がありますので、保存的治療のままで良いか、自覚症状や検査結果などを総合的に見て判断します。

後で述べるような治療は、身体に多少ダメージがあるため、まずは保存的治療をし、それでも排石されない場合には、内視鏡的治療や体外衝撃波の治療に移行します。10mm以上の結石の場合には、内視鏡的治療や体外衝撃波の適応となります。

経尿道的尿管破石術(TUL)

保存的治療で数ヶ月自然排石が認められない場合は、経尿道的尿管破石術を検討します。

麻酔をして、尿道から内視鏡を挿入します。結石のある尿管内まで内視鏡を進め、レーザーで結石を細かく破砕して取り出す治療を行います。カメラで直接結石を確認してレーザーを当てるため、治療の成功率は90%以上と高くなっています。

合併症としては、尿路感染症や術後の尿管狭窄などが挙げられます。尿の流れを確保する必要がある場合、しばらくの間尿管ステントを留置します。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体外衝撃波結石破砕術は、体の外から衝撃波を当てて、結石を細かく破砕して尿と一緒に自然排石を促す方法です。治療の成功率は術者にもよりますが、8割程度と内視鏡治療程高くはありません。ですが、身体の中に手術器具を入れるわけではないので、術後の感染など身体へのダメージは少ないと言えます。

合併症としては腎臓からの出血などがあります。体外衝撃波結石破砕術はレントゲンを見ながら行う治療なので、レントゲン検査で見える結石が治療の対象となります。

経皮的腎尿管破石術(PNL)

背中に小さな穴を開け、そこから内視鏡を入れて腎臓や尿管の結石を砕いて取り除きます。 20mm以上の大きな結石の場合、この治療が用いられます。

尿管結石・尿路結石の経過例

32歳男性

明け方からの右腰の激痛で泌尿器科クリニックを受診。CTにて3mmの右尿管結石と診断され、保存的治療を取っていた。1ヶ月後、自分では結石が出た感覚はなかったが、クリニックで撮ったCTにて排石が確認された。

40歳男性

数ヶ月前からの左腰の痛みと血尿にて泌尿器科クリニックを受診。CT検査にて15mmの左尿管結石と診断され、保存的治療で経過観察していた。1ヶ月後のCT検査にて結石の落下を認めず、位置も全く動いていないため、内視鏡的にレーザーで結石を破砕するためにクリニックの関連病院を紹介された。その後、手術は成功し経過観察となっている。

尿管結石・尿路結石を放置すると

尿管結石・尿路結石に感染症が合併すると、腎盂腎炎などを併発し、身体へのダメージが大きくなってしまいます。

また、結石が尿管に詰まったまま放置しておくと、腎臓から作られた尿が結石によって堰き止められ、腎臓の機能が落ちてしまい、最悪の場合は人工透析になる可能性もあります。

尿管結石・尿路結石の症状かな?と思ったら

尿管結石、尿路結石の痛みは、症状が出ている間は「痛みの王様」と言われるくらい激痛です。腰や脇腹が痛い・血尿頻尿がある・残尿感があるなどの症状は、尿路結石だけではなく、癌などの重大な病気の可能性も否定出来ないため、必ず泌尿器科クリニックを受診しましょう。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックではCT検査や超音波検査もあり、尿管結石・尿路結石の適切な検査、診断、治療が可能です。また、保存的治療で排石が困難な場合、適切な治療ができる医療機関を紹介させていただいております。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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