メニュー

胆嚢炎の症状・原因・検査・治療について

胆嚢炎には、急激な腹痛や発熱、吐き気、嘔吐などを引き起こす急性胆嚢炎と、炎症による影響で胆嚢の壁が厚くなった慢性胆嚢炎があります。

急性胆嚢炎は入院や緊急手術が必要な状態となる可能性があり、注意が必要な病気です。

健診で胆嚢炎を指摘された方、身近な方が胆嚢炎になった方までこの記事を気になっている方は様々でしょう。

この記事では胆嚢炎の症状、原因、検査、治療法について消化器科専門医がわかりやすく解説してますので参考にしていただければ幸いです。

1 そもそも胆嚢とは何をするところか

胆嚢は、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にあり、西洋梨のような形をしています。
胆嚢の働きは、肝臓で作られた胆汁を濃縮して保管しておくことで、50~60mlの胆汁を蓄えることができます。

胆汁は消化酵素の一種であり、食事を摂ると胆嚢が収縮し、胆汁が胆管を通じて十二指腸に流れ出し、消化を助ける働きをしています。

2 胆嚢炎とは

胆嚢炎と言うとほとんどは急性胆嚢炎のことを指します。
急性胆嚢炎は胆嚢の腫れや胆嚢の壁のむくみを伴った急激な炎症が起き、腹痛や発熱、吐き気、嘔吐などの症状を引き起こします。

慢性胆嚢炎は慢性的な胆石発作や急性胆嚢炎後に胆嚢の壁が厚く硬くなった状態のことを言います。

3 胆嚢炎の現状

胆嚢炎が増加しているとの具体的なデータは示されていませんが、後述するように急性胆嚢炎の大半は胆嚢結石(胆石症)が原因であり、食生活の欧米化と肥満者の増加に伴い胆石症が増加傾向にあることから、胆嚢炎も増加してくることが予想されます。

4 胆嚢炎の原因・リスク

急性胆嚢炎の原因の95%以上は胆嚢結石によるものと言われています。
胆嚢結石が胆嚢と胆管をつなぐ胆嚢管を塞いで詰まってしまい、胆汁に細菌が感染することで起こると考えられています。

その他の原因として手術の影響や長期間の絶食や点滴投与、胆嚢がんによる閉塞、糖尿病、特殊な感染症などが報告されています。
慢性胆嚢炎の原因はほとんどが胆嚢結石と過去の急性胆嚢炎によるものと言われています。

5 胆嚢炎の症状について

急性胆嚢炎の典型的な症状は、腹痛(みぞおちや右の肋骨下の痛み)や発熱、吐き気、嘔吐です。

急性胆嚢炎の症状が出て放置することで命に関わる場合もあります。

腹痛や発熱嘔吐の症状が合った場合は必ず消化器内科のクリニックを受診しましょう。

慢性胆嚢炎は急性胆嚢炎のような激しい症状はありませんが、食後にみぞおちや右の肋骨下の痛みを訴える場合があります。
無症状で経過する場合もあります。

6 胆嚢炎の検査について

6.1 血液検査

急性胆嚢炎の場合は白血球やCRPなどの炎症反応の増加が認められます。
また、まれに胆汁の流れが悪くなり、肝臓や胆道系の酵素の数値が上昇する場合があります。

6.2 腹部超音波検査・腹部CT検査

胆石の有無や炎症による胆嚢の腫れ、胆嚢の壁が厚くなる、胆汁うっ滞による胆管の拡張などを調べます。
また胆嚢の外(主に肝臓)に膿を作っていないか調べます。

腹部超音波検査。CT検査は当院で行っております。

超音波検査で観察出来る胆石症

CTでみられる胆石症

詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

6.3腹部MRI検査

CT検査で写らない小さな胆石もMRI画像で調べられることがあります。

7 胆嚢炎の治療について

7.1 急性胆嚢炎

急性胆嚢炎の治療は、まずは抗菌薬の投与を行った上で、手術に耐えうる全身状態であれば、早期の手術が推奨されます。


手術は胆嚢ごと切除する事が一般的で、1990年代以降はお腹の傷口が小さく術後の痛みが少ない腹腔鏡下での胆嚢摘出術が広く行われています。

重症例や全身状態が悪く手術が困難な場合には、皮膚から胆嚢にチューブを入れる経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)や、内視鏡を使用したドレナージ術(ETGBD、EUS-GBD)が行われ、状態が落ち着いた後に手術が考慮されます。

7.2 慢性胆嚢炎

慢性胆嚢炎の治療は、腹痛などの症状を繰り返す場合には胆嚢摘出術が考慮されます。
また胆嚢の壁が厚く、胆嚢がんとの鑑別が難しい場合もあり、診断と治療を兼ねて胆嚢摘出術を行う場合もあります。

8 胆嚢炎の予防について

胆嚢炎は胆嚢結石が原因で発症する場合が大半のため、以下のような胆嚢結石の発生を防ぐことが予防につながると考えられます。

8.1 肥満や脂質異常症 

血中のコレステロールや中性脂肪が高い場合、胆汁内のコレステロールの濃度が上昇し、胆石ができるリスクが高くなります。
適正体重を心がけることが脂質異常症や生活習慣病の予防になり、ひいては胆石症、胆嚢炎の予防にもなります。

8.2 不規則な食生活

食事の間隔が空きすぎると胆汁が濃縮され、結石ができやすくなります。
1日3食、バランスの良い食事が大切です。

8.3 脂肪分の多い食事

脂質やコレステロールの多い食事は胆石ができやすくなります。
ファストフードや揚げ物、肉、パン、洋菓子などは摂りすぎに注意してください。

8.4 暴飲暴食

一度にたくさんの量を食べると、消化のために胆汁も多く放出され、胆嚢や胆管に負担がかかります。
食事はゆっくり、腹八分目を心がけましょう。

8.5 アルコール

アルコールによって胆汁が濃縮され、胆石のリスクとなります。
アルコールの飲みすぎには注意し、適量を心がけましょう。

9 胆嚢炎を放置すると

急性胆嚢炎を放置すると、胆嚢の周囲に膿を作ったり(胆嚢周囲膿瘍)、胆嚢の壁に穴があき(胆嚢穿孔)、腹膜炎となったり、血液中に細菌がまわる敗血症となり重篤な状態となる場合があるため、命に関わる大変危険な状態となる恐れがあります。

10 胆嚢炎の患者様の経過の例

10.1 45歳女性

2日前からのみぞおちから右肋骨下の痛み、1日前からの38℃台の発熱を認め、症状の改善がないため当院を受診された。
腹部超音波検査、CT検査を行い、胆嚢の著明な腫大、胆嚢壁の肥厚を認め、胆嚢管に胆嚢結石の嵌頓(はまり込んでいる状態)所見がみられ、急性胆嚢炎と診断した。

同日に他院に紹介し、腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われた。

10.2 60歳女性

以前より胆嚢結石が指摘されていた。時折食後の腹痛を認めていたが自然軽快していたため放置していた。
今回健診で胆嚢壁の肥厚を指摘されたため当院を受診された。

腹部超音波検査、CT検査で胆嚢内に複数の小さな結石と胆嚢全体に壁の肥厚の所見がみられた。
腹痛などの症状を伴っており、胆嚢がんも否定できないと考え、他院に紹介となった。

後日腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われ、慢性胆嚢炎の診断となった。

11 胆嚢炎の症状かなと思ったら

腹痛(特にみぞおちから右肋骨の下にかけて)や発熱、吐き気、嘔吐があり、症状が続く場合は、必ず一度消化器内科を受診しましょう。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、胆嚢炎の適切な検査、診断が行えます。

治療が必要な場合は適切な病院へご紹介いたします。

詳しくは当院医師、スタッフまでお気軽にお尋ねください。

12 診療費用

当院は全て保険診療です。初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

新橋院

大宮院

池袋院

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME