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腎臓がん・腎嚢胞・腎血管筋脂肪腫の症状・原因・検査について

はじめに

腎臓は身体の中でとても重要な役割をする臓器です。腎臓に癌ができたり、腫瘍ができたり、嚢胞(水のかたまり)ができたりすることで腎臓の機能が脅かされることがあります。

腎臓がんに関しては有名人が公表したことで話題にもなりました。腎臓は人間が生きていくためにとても重要な役割を果たしているので、腎臓に異変があった場合には、直ちに対処する必要があります。

このページでは、腎臓の癌や腫瘍、嚢胞について泌尿器科専門医が詳しく解説させていただいております。ご覧いただくことで皆様の腎臓の病気の理解の助けになると幸いです。

1 腎臓とは

腎臓は身体の背中側にあるそら豆の形をした臓器で、手の拳ほどの大きさがあります。腎臓の役割は尿を作ったり、赤血球を作ったり、血圧を調整したり、ビタミンDを合成したりすることです。

ですので、腎臓の機能が低下することで尿が作られなくなったり、貧血になったり、高血圧になってしまいます。

特に尿が作られなくなると老廃物が身体の外へ排出できなくなるため、人は死んでしまいます。

超音波検査で観察する正常な腎臓

そのような状態になると「人工透析」といって、週に3回病院に通って血液を入れ替えなければいけないような状態になってしまいます。つまり腎臓の機能は守らなければならないとても大切な役割なのです。

2 腎臓がんとは

腎臓がんとは腎臓にできる癌のことで悪性腫瘍とも呼ばれます。

3 腎臓がんの種類

3-1 腎細胞がん

腎臓が大元(おおもと)で発生する癌を腎細胞がんと呼びます。

腎細胞がんは小さいと全く症状が出ませんが、大きくなってくると血尿などの症状が出てきます。

また、腎細胞がんが肺やリンパ節に転移することで、倦怠感や発熱などの症状を引き起こします。初期の腎細胞がんは無症状なのでご自身で気づく事は困難であり、健診や人間ドックの際に超音波検査で発見されて、泌尿器科受診をする方がほとんどです。

腎細胞がんを⻑期間放置することは命に関わってきますので、早期発見、早期治療がとても大切になってきます。

3-2 腎細胞がんの治療

腎細胞がんの治療は基本的には手術です。腫瘍が小さいと部分切除が適応になり、腎臓を温存することができます。また腫瘍が大きいと腎臓をひとつ丸ごと摘出しなければならない場合があります。

ご高齢の方や手術ができない理由がある方は、血管内治療や、ラジオ波や、腫瘍凍結療法が行われる場合もあります。また最近では腎細胞がんに対して様々な飲み薬(免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬など)の治療が発展してきています。

CTで観察される腎臓がん

詳しくは当院泌尿器科専門医までお尋ねください。

3-3 転移性腎がん

転移性腎がんは他の臓器からの癌の転移で腎臓に腫瘍ができることをいいます。
転移してくる大元の臓器としては、肺が最も多いです。

3-4 転移性腎がんの治療

転移性腎がんの治療は、転移が起きた大元の臓器の癌に準じた治療になります。

転移してきた癌は、基本的には手術の適応にはならず、抗癌剤や飲み薬の治療になります。

4 腎血管筋脂肪腫とは

腎血管筋脂肪腫は、腎臓にできる良性の腫瘍のことで、血管や筋肉や脂肪の塊(かたまり)のことを言います。自覚症状はなく、健診や人間ドックなどの超音波検査で偶発的に見つかることが多いです。

腎血管筋脂肪腫は基本的には転移はせず、腎臓の中で少しずつ大きくなっていきます。腫瘍が3cm以上になると腎血管筋脂肪腫が破裂する可能性が出てくるため手術適応になります。

その場合の治療は腹腔鏡で腎血管筋脂肪腫を切除する、あるいは血管内治療(腫瘍に栄養を送っている血管を塞栓して腫瘍を小さくする方法)があります。

5 腎嚢胞とは

腎嚢胞は腎臓にできる水の塊で、基本的には特に治療は必要としません。健診や人間ドックなどで、単発や複数個の腎嚢胞が指摘されていても、特に何も治療する必要はありません。

 

一方で、多発性嚢胞腎という病気があります。多発性嚢胞腎は常染色体優性遺伝で、両親のどちらかが遺伝子の変異を持ち、それが遺伝することで発症します。

多発性嚢胞腎は両側の腎臓に嚢胞が多発し、腎臓の機能が徐々に失われていきます。将来、人工透析になる可能性があったり、腎臓がんを合併したりすることもあります。多発性嚢胞腎と診断された場合は、利尿剤などを使って腎臓の機能が落ちないように治療していく必要があります。

ご両親のどちらかが多発性嚢胞腎と診断されていたり、健診や人間ドックで両側の多発腎嚢胞を指摘されたりした場合は、必ず泌尿器科や腎臓内科を受診しましょう。

6 腎臓の検査

6-1 尿検査

尿検査は泌尿器科ではとても大切な検査です。腎臓に腫瘍があることで血尿が生じてきたり、正常の状態では出てこない白血球が尿の中に出てきたりすることがあります。

また、尿の中に細菌や癌細胞が混じっていないかを確認することもできます。

6-2 採血検査

腎臓に癌があると炎症反応(白血球、CRP)が上昇することがあります。また採血検査では腎臓の機能が低下していないかを確認することもできます。

6-3 超音波検査

超音波検査は身体に害がなく、お腹の中の臓器のことがよく分かるとても有用な検査です。腎臓に癌がないか、腎嚢胞がないか、腎臓が腫れていないかなどが超音波検査で分かります。超音波検査は当院でも行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

6-4 CT 検査

CTで確認できる腎嚢胞

CT検査は放射線を使用しますが、身体の中が隅々まで分かるとても有用な検査です。腎臓の癌や腎臓の腫瘍、腎嚢胞の確定診断にはCT検査が必要です。
当院でもCT検査を行っておりますので、詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

7 腎臓の病気を放置すると

腎臓がんや多発性嚢胞腎や腎血管筋脂肪腫を放置することで腎臓の機能が低下したり、生命に関わるような病気に発展したりすることもあります。健診や人間ドックで腎臓の病気を指摘された方は泌尿器科を必ず受診しましょう。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは腎臓の病気の詳しい検査、診断が可能です。

検査の結果、専門的な治療が必要な場合は責任を持って提携している医療機関を紹介させていただきます。どんなことでも当院医師スタッフまでお気軽にご相談ください。

8 診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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