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男性更年期障害(LOH症候群)の症状・原因・検査・治療について

男性更年期障害という言葉を聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか。更年期って女性のものじゃないの?妻や同僚から男性更年期障害じゃないかと指摘された、やる気が出ないのは男性更年期のせい?など様々なことを思い浮かべると思います。

男性更年期障害は今や40歳以上の男性の6人に1人がかかっていると言われています。このページでは泌尿器科専門医の立場から男性更年期障害についてわかりやすく説明していきたいと思います。皆さんの男性更年期障害についての理解の助けになると幸いです。

男性更年期障害とは

男性更年期障害とは、加齢により血液中の男性ホルモンの濃度が低下することにより起こる症状のことを言います。男性ホルモンには、筋肉を増やしたり、精子を作ったり、性欲を高めたり、体毛を増やしたり、皮脂を作ったり、脳や精神の機能を司ったりする作用があります。

なので、男性ホルモンが低下することで、やる気が低下したり、性欲が低下したり、男性機能が低下したり、物忘れが出てきたり、イライラしたり、怒りっぽくなったりなどの症状が出てきます。

男性更年期障害の症状

性行動への影響

・勃起力の低下
・朝勃ちの回数の減少
・性欲の低下

 

脳への影響

・物忘れ
・イライラする
・怒りっぽくなる(周りの方から、最近怒りっぽくなった事やイライラしがちな事を指摘される方も多いです)
・やる気の低下(うつ病に似た症状が出ることもあります。)
・睡眠が浅い

体への影響

・筋肉が落ちる
・内臓脂肪がつきやすくなる

男性更年期障害の原因

男性更年期障害は、男性ホルモンが低下することによって起こります。男性ホルモンは通常20代をピークに緩やかに低下します。男性ホルモンの低下は、加齢、ストレス、生活習慣の変化、環境の変化、運動不足、不規則な食生活から起こります。

男性更年期障害の症状が出てくることで生活習慣がさらに乱れ、そのストレスが増加することで、さらに男性更年期障害の症状が悪化するという悪循環になる場合もあります。

男性更年期障害の検査

問診 AMSスコア

AMSスコアと言われる男性更年期障害についての問診をしていただきます。AMSスコアはWEB上で簡単にダウンロードできますので、ご自身でチェックしてみるのもおすすめです。

軽症、中等症、重症とありますが、中等症以上であれば男性更年期障害の疑いがかなり強くなります。

ご自身でチェックして、中等症以上であれば泌尿器科クリニックを受診することを強くお勧めします。

男性更年期障害の重症度をチェックしましょう
チェック項目 なし 軽い 中等度 重い 非常に
重い
1. 総合的に調子がよろしくない 1点 2点 3点 4点 5点
2. 関節痛、筋肉痛 1点 2点 3点 4点 5点
3. 発汗 1点 2点 3点 4点 5点
4. 睡眠障害 1点 2点 3点 4点 5点
5. しばしば疲れを感じる 1点 2点 3点 4点 5点
6. いらいらすることがある 1点 2点 3点 4点 5点
7. 神経質になる 1点 2点 3点 4点 5点
8. 不安感がある 1点 2点 3点 4点 5点
9. からだの疲労や行動力の減退 1点 2点 3点 4点 5点
10. 筋力低下 1点 2点 3点 4点 5点
11. 憂鬱な気分になる 1点 2点 3点 4点 5点
12. 「絶頂期は過ぎた」と感じる 1点 2点 3点 4点 5点
13. 力尽きた、どん底にいると感じる 1点 2点 3点 4点 5点
14. ひげの伸びが遅い 1点 2点 3点 4点 5点
15. 性的能力の衰えを感じる 1点 2点 3点 4点 5点
16. 早朝勃起の回数の減少 1点 2点 3点 4点 5点
17. 性欲の低下 1点 2点 3点 4点 5点
合計
結果の見方
  • 26点以下: 正常
  • 27~36点: 軽度
  • 37~49点: 中等度
  • 50点以上: 重度

※軽度〜重度の方は受診をお勧めします。

採血検査

採血検査は、男性更年期障害の検査にはとても大切な検査になってきます。男性更年期障害では、男性ホルモンが低下します。男性ホルモンの中でも、遊離テストステロンという値を測定するのが大切です。

遊離テストステロンは、午前中に測ると値が高く出やすいとも言われておりますが、お仕事等の関係で午後にしか受診できない方も多くいらっしゃいますので、特に採血の時間にこだわらなくても大丈夫です。

血液検査で遊離テストステロンが8.5以下となった場合は、男性更年期障害の疑いがさらに強くなります。遊離テストステロンの値が8.5以上であった場合も、数字だけにこだわらず、その方の症状に応じて男性更年期障害かどうかを泌尿器科の医師が慎重に判断します。

また、前立腺がんの疑いがある場合は、治療薬の男性ホルモンの注射ができませんので、採血で前立腺がんのマーカーであるPSA値も同時に測定します。

超音波検査

採血で前立腺がんを疑った場合や、肝臓や腎臓の値に異常があった場合には腹部超音波検査を行いますが、男性更年期障害を疑って超音波検査をすることはありません。

腹部超音波検査は身体に害がなく、多くの情報を得ることができるとても有用な検査です。

男性更年期障害の治療

男性ホルモン(テストステロン)注射

採血や問診にて男性更年期障害の診断をしたら、男性ホルモンを補充する注射を行います。2週間から3週間ごとに男性ホルモンの注射を定期的に行います。

副作用としては多血症(血液が濃くなる状態)、脱毛、肝機能障害、精巣萎縮などが挙げられます。副作用が強く出る方は、男性ホルモン注射の周期を長くしなければいけません。定期的に採血や問診をすることで副作用が出ていないかの確認をします。

最新の論文では、半年ほど男性ホルモン注射を継続し、その後注射を止めたとしても、症状が元に戻らないという結果も出ております。ですので、最低でも半年間の継続を患者様には推奨しております。

男性ホルモン(テストステロン)の塗り薬

男性ホルモン注射をすると、一時的に男性ホルモンの値は上がりますが、数日後にはまた徐々に下がり始めます。男性ホルモン注射の効能が落ちている時期に、塗り薬を陰嚢や顎下に塗ることで、皮膚を通じて男性ホルモンを補充します。このお薬は保険適応にはならず、自費診療になります。当院でも扱っておりますので、お気軽にご相談ください。

漢方薬処方

漢方薬が直接男性ホルモンに作用するわけではありませんが、男性更年期障害による症状に漢方薬が有効なことも多くあります。例えば、ほてりやイライラに対しては有効な漢方薬がありますので、その処方をする場合もあります。

男性更年期障害の治療経過の例

49歳男性

妻から最近怒りっぽくなったと指摘されて受診。採血にて遊離テストステロンの値が8.0だったため、男性ホルモン注射を開始した。2週間に1回の注射を続け、症状は改善傾向である。

51歳男性

50歳から性欲が低下したことと、男性機能(勃起機能)が低下したことで、男性更年期障害を疑い受診。採血の結果、遊離テストステロンは10.0であったが、医師と相談して男性ホルモン注射をすることを希望された。

3週間に1回の注射で症状が改善し、半年ほど受診と注射を継続した。その後、注射を継続せずとも経過は良好である。

男性更年期障害を放置すると

男性更年期障害の症状を放っておくと、自分だけでなく、周囲に影響を与える場合もあります。やる気が出ない、性欲の低下、男性機能の低下などご自身で思い当たることがある、または周りから指摘されたという方は、一度泌尿器科受診をすることをお勧めします。

男性更年期障害かなと思ったら

男性更年期障害を疑ったら、近くの泌尿器科クリニックを受診しましょう。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは男性更年期障害の適切な検査、診断、治療が可能です。どんなことでも遠慮なくご相談ください。

診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+男性ホルモン注射 4500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
男性ホルモン注射のみ 1000〜1500円前後

当クリニックでは、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行ない、泌尿器科消化器科専門のクリニックとして経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。

男性更年期に気づかず、様々な診療科を受診し、鬱病などの誤った診断を下され、不要な治療や薬を飲み、さらに症状を悪化させるケースも少なくありません。
「最近、やる気が出ない、性欲がない…」などの症状が続く場合は、是非一度、当クリニックにお気軽にご相談ください。新橋駅前の「新橋消化器内科・泌尿器科クリニック」でお待ちしております。
この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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