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肝硬変の症状・原因・治療について

肝臓は「沈黙の臓器」とも言われるように長年異変に気付かず、症状が出た時にはかなり病気が進行しているケースがあります。

肝臓の病気はアルコールが原因と思われがちですが、実はそうではないケースもあります。

それでは肝臓の病気のひとつである「肝硬変」とは、どのような病気なのでしょうか。

このページでは肝硬変について消化器内科専門医がわかりやすく解説していきます。

目次



1・肝硬変とは

肝臓は人体の中で最も大きい臓器で、約1200g、体重のおよそ50分の1を占めます。肝臓はまさに「肝心(腎)かなめ」という言葉が示すように生体にとって最も重要な臓器のうちのひとつです。

肝臓の働きは主に栄養素の消化吸収に必要な胆汁の生成、栄養素の貯蓄と加工、解毒作用、その他にも生体防御作用や血液を貯めて必要に応じて放出させるなど生命活動に欠かせない大切な働きをしています。

肝硬変はまさに漢字の通り肝臓が硬くなって萎縮してしまった状態をいいます。

肝臓は再生能力の高い臓器なので、肝炎などを起こし肝細胞が萎縮して破壊されると、それを補うように繊維が増殖し、これを繰り返すことで肝硬変となります。

肝硬変になると体内で行われるはずの分解、解毒作用が正常に行われなくなり、肝臓本来の仕事が出来なくなります。

やがて肝機能不全を引き起こし、毒性の物質が体内に滞り、意識障害をもたらします。肝硬変は肝臓がんへ進行するリスクも高いため、放置すると大変危険な状態になります。

健診などで肝機能障害を指摘された時点で適切な対処が必要となります。

2・肝硬変の原因

肝硬変の原因は長年のアルコールの多量摂取と思われがちですが、実は日本人の肝硬変の一番の原因はC型肝炎ウィルス(HCV)感染によるものです。

C型肝炎ウィルス感染による肝硬変が全体の7割から8割を占め、次いでB型肝炎ウィルス(HBV)感染、その次に長期にわたる多量飲酒が挙げられます。その他遺伝的な要因やストレスなども原因となります。

3・肝硬変の症状

肝硬変の症状は初期と中期〜末期と区分され、初期段階の症状を「代償性」、中期〜末期段階の症状を「非代償性」と区分されています。

代償性の症状は初期段階なのでまだ肝臓は正常に機能している場合が多いため、無症状のことが多いです。倦怠感や疲労感、食欲不振などの症状が出ることもありますが、この段階ですぐに肝硬変を疑って受診する方は少ないです。

ただし、肝硬変を進行させないためにはこの段階で検査を受け肝臓の状態をチェックすることが望ましいです。

症状が進行し、非代償性の中期〜末期に進行すると、様々な症状が出てきます。

黄疸

ビリルビンという物質は通常体内に放出されることはないのですが、肝硬変により胆道が阻害されると体内の血液中に放出されます。

これにより皮膚や目の角膜が黄色くなり、尿がオレンジに近い濃い黄色になります。

腹水・浮腫

肝機能が低下して体内のタンパク質が減少すると血管内にある水分が外に漏れ出し、お腹に腹水が溜まったり、手足が浮腫んだりします。

出血傾向

肝臓は血液凝固のための大切な物質を多く作り出します。この機能に異常が見られると血が止まりにくくなり、出血しやすくなります。そのため鼻血が出やすくなったり歯茎から出血したりします。

手掌紅斑

手の親指と小指の付け根、手のひらに紅斑が見られます。痛みや痒みを伴うことはありません。

クモ状血管腫

肩・二の腕・胸などにクモの足状に赤く盛りあがったスジが出来ます。これは肝機能低下により毛細血管が拡張するために起こります。

女性化乳房

男性にみられる症状で、体内の女性ホルモン(エストロゲン)の代謝異常によって乳房や乳首が大きくなります。

こむらがえり

肝機能低下によってビタミンDやビタミンB12などの各種ビタミンの代謝異常を起こし、筋肉がつりやすくなり頻繁にこむらがえりを起こします。

肝性脳症

肝硬変が進行するとアンモニアなどの毒性物質を解毒できなくなり、毒性物質が脳にまで行き渡り、肝性脳症を起こします。肝性脳症は意識障害を引き起こし、死に至ることもあります。

食道胃静脈瘤

肝臓に血液が正常に流れなくなり、門脈という血管の圧が高くなることで静脈瘤を作ります。静脈瘤が破裂すると吐血下血を引き起こします。

4・肝硬変の検査

肝硬変の検査は血液検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、腹腔鏡検査などがあります。

血液検査ではAST(GOT)、ALT(GPT)の数値を調べることで肝機能障害の度合いを調べ、肝硬変の進行具合が分かります。

またアルブミンやビリルビンの数値を調べることで肝機能を確認します。

腹部超音波検査、CT検査の画像検査では肝硬変を起こしている箇所や肝脂肪の有無、またどの程度進行しているかを詳しく調べることができます。

その他、腹腔鏡検査で肝臓の表面を直接確認し、肝生検を行う検査や、肝臓の硬さを測るフィブロスキャン検査があります。

当院では腹部超音波検査、CT検査、採血検査を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

5・肝硬変の治療

代償性の肝硬変初期症状には、飲酒の節制、運動、生活習慣の改善などをしながら定期的に検査を行い、肝硬変が進行していないか確認します。

C型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルスが原因の場合には抗ウィルス剤を使用します。

一方、非代償性の治療は、現状で起こっている合併症の治療をします。その治療と同時に食生活をはじめとした生活習慣の見直しや改善を行います。

合併症の中でも腹水、食道胃静脈瘤、肝性脳症の治療は速やかに行う必要があります。非代償性の肝硬変の治療の目的は代償性の状態まで戻すことです。

肝硬変は検査と治療を早期から行うことで、怖い病気ではなくなります。少しでも心配な症状のある方や健康診断で肝臓の数値を指摘された方は早めの受診、検査をすることをお勧めします。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは肝機能障害・肝硬変の適切な診断・検査が可能です。詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

新橋院

大宮院

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