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陰嚢・精巣・金玉の痛み、腫れ、違和感について

このページにたどり着いた方は、陰嚢や精巣の痛み、腫れ、違和感で悩みを抱えていることと思います。なかなか人にも相談できず、医療機関を受診するのも抵抗があるため、長い間何もせずに放置している方が多いのが現状です。

また実際は、陰嚢や精巣に異常がないのに痛みや違和感がある方が非常に多いです。この記事をご覧いただき、正しい知識を得て、必要であれば泌尿器科受診につなげていただけると幸いです。

陰嚢・精巣とは

陰嚢とは図のように、精巣を包む袋のことです。また、精巣は睾丸や金玉とも呼ばれ、左右に1つずつあります。

陰嚢・精巣の働き

陰嚢は精巣を守る役割があります。
精巣は精子を作ったり、男性ホルモンを分泌する働きがあります。

もし癌や事故などで精巣を切除し、1つになったとしても、もう1つの精巣が残っていれば、大きな支障はなく、精子を作ったり、男性ホルモンを分泌することができます。

陰嚢・精巣の痛みや違和感の原因

精巣捻転

精巣捻転は、緊急な処置を要する最も怖い病気のうちの1つです。10代の男性に多く起こり、片方の精巣に急に激烈な痛みを引き起こします。文字通り、精巣の血管が捻れることで血流が途絶えてしまいます。

超音波検査で精巣に血流が無いことを確認したら、できるだけ早い段階で手術が必要となります。発症から6時間以内に手術を行い、捻転を元に戻さなければ、精巣が壊死してしまう可能性が高くなります。精巣が壊死してしまった場合は精巣を摘出しなければなりません

精巣の強い痛みに気づいた方は、放置せずに、泌尿器科のある医療機関を必ず受診しましょう。

急性精巣上体炎

精巣上体は精巣の外側にあり、精巣で作られた精子を貯蔵し、成熟させる役割があります。急性精巣上体炎は、尿道を介して、精巣上体に細菌が感染した状態を言います。急性精巣上体炎の症状は、発熱、片方の精巣の腫れや痛みです。症状が進むと太ももの付け根や下腹部が痛くなる場合もあります。

精巣上体炎の治療は抗生剤の投与です。抗生剤の投与に加えて、患部を冷やすと治りが早くなるとも言われています。痛みや発熱は抗生剤の投与とともに収まりますが、腫れついては1ヵ月ほど続くことがあります。

また、性病の1つであるクラミジアによる感染で精巣上体炎が起こる場合もありますので、疑わしい場合はクラミジアの検査をし、必要に応じてクラミジアの治療が必要になります。

精索静脈瘤

精索静脈瘤は、精巣から出た静脈が、図のようにコブのように腫れる病気です。精巣から心臓に戻るはずの静脈が逆流を起こして、血液が溜まってコブ状になってしまう状態を言います。

精索静脈瘤は解剖学的に左側に起こることが多いのですが、右側に起こる場合もあります。ほとんどの場合は無症状ですが、中には精巣の違和感や痛みを訴える方がいます。

治療は漢方薬等による経過観察となりますが、痛みが強い場合は手術にて治療する場合もあります。また、精索静脈瘤は、精巣機能に影響を及ぼし、男性不妊の原因になると言われており、男性不妊の患者様の中では約40%の割合で精索静脈瘤があります。

はっきりとした原因がない場合

検査をしても、明らかな異常がないにもかかわらず、精巣が痛いという方もたくさんいらっしゃいます。服によって精巣を圧迫していたり、長時間座っていたりなど、精巣の血流が悪くなることで起きる場合が多いとされています。

超音波検査や尿検査をした結果、大きな異常がないことを確認した上で、生活指導と漢方薬等の投与をすることが一般的な治療です。

陰嚢・睾丸が腫れる原因

精巣捻転

先述の通り、精巣が捻れることで、精巣への血流が途絶え、また精巣からの血液が心臓に戻らなくなるため、精巣が腫れる場合があります。

急性精巣上体炎

先述の通り、精巣に感染が起きることで、精巣が腫れ、痛みが生じます。基本的には抗生剤の投与で治療をします。

精巣がん

精巣がんは精巣に生じる悪性腫瘍です。約10万人に1人が罹患する非常に稀な癌であり、比較的若い方に起きる癌です。初期の段階では自覚症状はなく、癌のある側の精巣が徐々に大きくなったり、しこりができたりすることで気づくことがほとんどです。

精巣がんは進行が早く、肺やリンパ節に転移しやすいため、早期発見、早期治療が非常に大切になってきます。精巣がんの治療は、手術で精巣ごと摘出し、転移がある場合は、化学療法や放射線治療などを追加します。陰嚢、精巣が腫れている場合は、精巣がんの可能性もあるため、必ず泌尿器科クリニックを受診しましょう。

陰嚢水腫

陰嚢水腫は30代以降の男性に多く起こると言われています。精巣の周囲や陰嚢の中にリンパ液が溜まる病気で、片方の陰嚢が腫れてきます。痛みなどは伴いません。

陰嚢が生活に支障をきたすほどの大きさになった場合、陰嚢を穿刺してリンパ液を抜いたり、手術でリンパ液を囲んでいる膜を切除します。

陰嚢水腫に対して、穿刺を繰り返している方も多くいらっしゃいますが、効果は一時的で、穿刺をした後も陰嚢水腫は必ず再発しますので、穿刺ではなく手術をして膜そのものを切除することが根治につながります。

脱腸(鼠径ヘルニア)

脱腸による陰嚢の腫れは、お腹の筋膜の隙間から陰嚢の方に腸や腹膜や腹水が飛び出てくることで起こります。腸などが飛び出ていることで、陰嚢が腫れているように見えます。お腹に力を入れると、腸の飛び出しが大きくなり、その症状は悪化します。

脱腸は放っておくと、お腹の中に腸が戻らなくなってしまう嵌頓(かんとん)という状態になってしまいます。この場合、飛び出たままの腸が壊死してしまう可能性もあるため、見つかった時点で早めの対応が必要となります。

急性心不全(陰嚢浮腫)

急性心不全は、心臓の働きが悪くなることで、全身の血流が悪くなり、全身に水分が溜まってしまう病気です。急性心不全の兆候の一環として、肺に水が溜まって動悸や息切れの症状が現れたり、両足に水が溜まって浮腫み、足を指で押すと跡がつく下腿浮腫の症状が現れます

また、陰嚢にも水が溜まることで、陰嚢が腫れて見えます。その際の陰嚢の腫れは両側に生じることが特徴です。陰嚢が腫れることで、一見、泌尿器科の病気のようにも見えますが、全身の浮腫や呼吸困難などの症状を伴った場合は、急性心不全を疑い、治療を開始する必要があります。

陰嚢・睾丸の病気の検査

尿検査

泌尿器科では、尿検査はとても大切な検査になってきます。陰嚢や精巣の病気には、尿に異常を生じるものが多くあります。尿の中に細菌感染や癌細胞がないかなどを確認します。

採血検査

採血検査も陰嚢や精巣の病気には大切な検査となってきます。体の中の炎症反応(白血球、CRP)を確認したり、精巣がんのマーカー(HCG、AFPなど)を確認したりします。

超音波検査

超音波検査は、陰嚢や精巣の病気を確認するにはとても有用な検査です。超音波検査で、精巣捻転や精索静脈瘤、精巣がん、精巣上体の腫れ、陰嚢水腫などがないかを確認できます。

 

また、精巣内の血流を確認することができますので、精巣捻転の緊急性が分かります。超音波検査は体に害がなく、陰嚢や精巣については分かる情報が非常に多いとても有用な検査です。

CT検査

陰嚢や精巣の病気で、CT検査を行う場合は、精巣がんや急性心不全で全身の状態を把握したい場合に用いられます

CT検査を行うことで、肺やリンパ節への精巣がんの転移を確認できます。また、急性心不全の場合、肺水腫の程度などを確認することができます。

MRI検査

MRI検査は、精巣がんの精密検査に使われます。必ず行われる検査ではありませんが、手術前には、精巣がんの浸潤程度や範囲を確認したいため、MRI検査を行うことが多いです。

陰嚢・睾丸の病気の経過の症例

16歳男性

朝方6時、右精巣の急な痛みで起床。両親に連れられ、救急外来受診。超音波検査にて、右精巣捻転を疑われ、朝10時より緊急手術となる。捻れを解除し、精巣への血流が回復し、精巣は温存され、摘出せずに手術終了。その後の経過は良好である。

35歳男性

自閉症の方。両親とのコミュニケーションはあまりなく、2年前から精巣・陰嚢の腫れに気づいていたが、それについて両親とは話さず。(精巣がんでは痛みはほとんど生じません)


直径20cm大の陰嚢となった時点で、両親が気づき、泌尿器科外来を受診。精巣がん、両側多発肺転移と診断され、精巣摘出の手術をした。合わせて化学療法が開始となった。

陰嚢・睾丸の病気を放置するとどうなるか

精巣がんは進行が早く、放っておくと肺やリンパ節に転移を生じる場合がありますし、精巣捻転は痛みに気づいた時点ですぐに受診をしないと精巣が壊死してしまう場合もあります。また、陰嚢や精巣の病気は男性不妊を引き起こす可能性もあります。陰嚢や精巣の痛み、腫れ、違和感は早めの泌尿器科受診が必要となります。

陰嚢・睾丸の痛み・腫れ・違和感に気付いたら

陰嚢や精巣のお悩みについてはなかなか人に相談できずに、医療機関への受診もためらいがちになりがちと思われます。ですが、先述したとおり、精巣がんなどの怖い病気が隠れている場合がありますので、早めの受診が大切です。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは患者様のプライバシーに配慮した診療を心がけています。超音波検査、CT検査も院内で受けていただくことができ、結果は泌尿器科専門医が説明させていただきます。検査の結果、当院で治療ができない場合は、連携している高度医療施設に紹介させていただいております。陰嚢・精巣・金玉の痛み、腫れ、違和感をお持ちの方は遠慮なくご相談ください。

診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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