ACRSを頭⽪に施す⽑髪再⽣医療について
1.はじめに
現代の美容・医療分野では、再⽣医療技術を活⽤した治療法が注⽬されています。その中でもACRS(Autologous Cytokine Rich Serum)は、⾃⼰⾎由来の成⻑因⼦を利⽤した再⽣医療として、肌や頭⽪の治療に広く⽤いられています。
特に、薄⽑や抜け⽑の改善を⽬的とした頭⽪治療においてACRSが活⽤されるケースが増えており、副作⽤が少なく安全性が⾼い治療法として期待されています。この記事では、ACRSの基本的な概要と、頭⽪などへの応⽤について詳しく解説させていただきます。
2.ACRSとは
2-1 ACRSの基本概念
ACRSとは、「⾃⼰⾎サイトカインリッチ⾎清」の略称で、ご⾃⾝の⾎液から⽣成する『成⻑因⼦』を豊富に含んだ⾎清です。成⻑因⼦とは細胞の増殖・分化・修復を促進するタンパク質の総称で、主に細胞同⼠のシグナル伝達を担い、組織の再⽣や修復、⾎管の新⽣(新しく⾎管を作ること)などに重要な役割を果たします。
従来のPRP(多⾎⼩板⾎漿)療法と似ていますが、より⾼濃度の成⻑因⼦を抽出できるのが特徴です。
2-2 ACRSの作成⽅法
- 採⾎ ‒ 患者様⾃⾝の⾎液を採取します。(12ml)
- ACRSの取り出し ‒ 採取した⾎液を特殊な容器に⼊れ、37.0℃で3時間保温します。こうする事で炎症を抑える抗炎症性サイトカインや成⻑因⼦を⾼濃度で抽出することができます。(サイトカイン量については通常時の約5倍)
- ACRSの注⼊ ‒ 作成したACRSを⽬的の部位(肌・頭⽪・陰茎など)に注⼊します。
2-3 ACRSの特徴
✅ ⾃⼰⾎由来のためアレルギーリスクがほとんどない
✅ 炎症を抑える抗炎症性サイトカインが含まれる
✅ PRP(多血小板血漿)よりも⾼濃度の成⻑因⼦を含む
✅ 肌や頭⽪の再⽣促進に効果的
3.ACRS頭⽪への応⽤
⽑髪はヘアサイクル(成⻑期・退⾏期・休⽌期)を繰り返しており、健康な頭⽪では休⽌期を終えた⽑包(⽑髪を包み混んでいる組織で、髪の成⻑や抜け落ちるヘアサイクルを調整する働きを持つ)は⾃然に成⻑期へと移⾏します。しかし加齢による影響やホルモンの影響、ストレス、栄養不⾜などにより休⽌期のまま成⻑期に移⾏できない状態が「薄⽑」と呼ばれる状態です。
ACRSは薄⽑・抜け⽑の治療にも効果が期待されており、特に男性型脱⽑症(AGA)や⼥性のびまん性脱⽑症において、⽑髪の成⻑を促進する治療法として注⽬されています。
3-1 頭⽪ACRS治療の効果
- 成⻑因⼦による⽑⺟細胞の活性化 ‒ 髪の成⻑に関与するサイトカインや成⻑因⼦が、⽑包の再⽣を促進します。
- 抗炎症作⽤による頭⽪環境の改善 ‒ 頭⽪の炎症を抑え、健康な⽑髪の成⻑をサポートします。
- ⾎流改善 ‒ ⾎管の新⽣を促し、頭⽪への⾎流を増加させることで、⽑根への栄養供給を向上させます。
3-2 治療の流れ
- 初回カウンセリング ‒ 薄⽑の進⾏度や適応性を医師と確認します。
- 採⾎とACRS作成 ‒ 採⾎で⾎液を採取し、ACRSを作成します。
ACRS作成には3時間かかります。3時間後にご来院していただくか、お時間のない⽅は注⼊を別⽇にしていただく事も可能です。(ACRSは冷凍で3ヶ⽉間安全に保管可能です。) - 頭⽪への注⼊ ‒ ⽔光注射と呼ばれる機械で注⼊していきます。気になっているところへは重ねて注⼊する事も可能です。
⽔光注射は韓国発祥の治療⽅法で、極細針で肌や頭⽪などの気になる部分に薬液などを均⼀に注⼊する⼿法です。「⽔分を含んでみずみずしく、光り輝く艶を持った肌」になれるということから水光注射と名付けられたと言われています。
3-3 頭⽪のACRSの治療期間
1回の治療では1本ずつサイクルが異なる⽑包全てにアプローチできないため、複数回治療を⾏うことが理想です。複数回治療することで全ての⽑包を成⻑期へと促すことが可能となります。
また、成⻑因⼦を注⼊することで⽑包を活性化しますが、細胞の修復や再⽣はすぐには完了しないため、複数回の治療が必要となります。
成⻑因⼦を継続的に注⼊することで発⽑が安定し、太くてしっかりとした発⽑が可能となります。効果を最⼤化するために治療は3〜4週間おきに5回程度⾏うことが⼀般的であり、もともとダメージが強い⽅は5回以上の治療が必要な⽅もいらっしゃいます。
3-4 ACRS の頭⽪治療のメリット
✅ ⾃⼰⾎由来なので安全性が⾼い
✅ 副作⽤が少なく、ダウンタイムがほとんどない
✅ 発⽑・育⽑効果が期待できる
✅ 他の治療(ミノキシジル内服や外⽤)と併⽤可能
3-5 当院のACRS 治療(現在準備中となっております)
部位 | 料金 |
頭皮 | 88,000 円(1 回につき) |
陰茎(ED治療) | 88,000 円(1 回につき) |
※陰茎ACRS注射は、陰茎に直接ACRSを注射して⾎管や神経の修復と再⽣を促すEDの根本治療です。副作用もなく、バイアグラなどの薬に頼らない治療法として⾮常に注⽬されています。
4.まとめ
ACRSは、⾃⼰由来の成⻑因⼦を活⽤した再⽣医療の⼀つで、肌の若返りや頭⽪の再⽣治療、ED治療など様々な分野で活⽤されています。特に当院でもおこなっている頭⽪治療では、AGAや抜け⽑対策として有望視されており、安全性の⾼さから多くの⼈に選ばれています。
薄⽑や頭⽪環境に悩んでいる⽅は、ACRS治療を検討してみてはいかがでしょうか

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。