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お腹が張る・膨満感・痛みの原因・検査について

お腹が張ったり、膨満感があったり、痛みがあっても医療機関を受診しない方が多いのではないでしょうか。これらの症状はみなさんが割と良く経験することであり、食べ過ぎたから、普段から便秘だから、運動不足だから、最近太ったからなどと軽視されがちです。

ほとんどのケースでこれらの症状は一時的なものであり、しばらくすると自然に改善されていることがほとんどです。しかし中には怖い病気が隠れていることもあり、「いつもの事」「しばらくすれば治る」と自己判断するのは非常に危険なのです。

この記事ではお腹が張ったり、膨満感を感じたり、痛みを伴ったりした場合に考えられる疾患や、どんな検査を受けるべきかなどを分かりやすく説明させていただきます。皆様の参考になれば幸いです。

1 お腹が張る、膨満感とは

食事を摂ると物理的にお腹はある程度膨れますが、食べたものが消化されていくに従って元通りに戻るのが通常です。
しかし、食事を摂っていない状態でもお腹に何かが詰まっているような感覚になったり、空気が溜まっているような感覚になったり、実際の見た目でもまるで妊婦さんのようにお腹がぽっこりと膨らんだり、お腹を叩くとポンポンと音がしたりする場合があります。
これを「お腹が張る」、「膨満感がある」と表現し、ご本人は息苦しく感じたり、痛みとして感じたり、不快に感じたりするため、早期に原因を突き止める必要があります。

2 お腹が張る・膨満感・痛みの原因

2.1 便秘

腸管の動きが低下し、大腸の中に便やガスが溜まって便秘となってお腹が張ったり、膨満感を感じたり、時には痛みを感じる場合があります。

2.2 過敏性腸症候群

お腹の張りや膨満感は過敏性腸症候群の特徴的な症状のひとつです。大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)などをしても腸に異常が見つからないにも関わらず、腹痛を伴う便秘や下痢、膨満感の症状が⻑期間に渡って起こります。

2.3 逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃酸を含む胃の内容物が、通常は逆流することのない食道に逆流し、強い胃酸の影響で食道に炎症を起こすことを言います。逆流性食道炎は胸焼け、ゲップ、腹部膨満感、胸痛などの症状を呈します。

2.4 機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは胃内視鏡検査(胃カメラ検査)などで胃の中に炎症などの異常がないにも関わらず、腹部膨満感や胃もたれ、胃痛などの症状がある状態を言います。

2.5 急性膵炎

急性膵炎は膵臓が急激に炎症を起こし、膵臓の消化酵素が膵臓内で活性化し、自らを消化してしまう恐ろしい病気です。さらに進行すると周囲の臓器まで消化してしまい、命に関わる重篤な状態となってしまいます。急性膵炎の症状のひとつとして腹部膨満感が挙げられます。

2.6 胆石症・胆嚢炎

胆石は胆汁の成分が固まって石となったものですが、結石があるだけでは痛みや症状を呈しません。結石が大きくなったり、複数できたりして胆嚢や胆管に詰まると胆嚢炎や胆管炎を引き起こし、激しい腹痛や嘔吐の原因となります。また、人によっては腹部膨満感として自覚する方もいらっしゃいます。

2.7 癌や肝硬変などによる腹水

腹水とは体液が腹腔内に溜まった状態を言います。
私たちの腹腔内にはある程度の腹水(20ml〜50ml)が含まれているのが通常で、これは腹腔内にある腸がスムーズに動くようにするためです。
ところが癌や肝硬変、心不全、腎不全などによって、異常に腹水が溜まってしまう場合があります。腹水が溜まると腹部膨満感を引き起こし、体重が増加したり、胃を圧迫して息苦しくなったり、見た目にも分かるくらいにお腹が出てしまったりする方がいます。

2.8 大腸がんによる腸閉塞

大腸の中に癌ができると、腫瘍が管腔の中を徐々に塞いでいきます。そのため、便秘になったり下痢になったりする便通異常が起き、排便してもすっきりせず、お腹が張ったりします。
やがて腫瘍が完全に管腔を塞ぐと腸閉塞の状態となり、完全に便が出なくなります。症状は腹痛や腹部膨満感、吐き気や嘔吐、便やおならが出ないなどの症状が起き、緊急手術が必要な場合もあります。

2.9 慢性胃炎

慢性胃炎は胃の粘膜が慢性的に傷つき、炎症を起こしている状態を言い、その原因は 80%がピロリ菌です。
慢性胃炎の症状は胃痛、胃もたれ、腹部膨満感、食欲不振、胃部不快感などがありますが、中には症状を感じない方もいます。

2.10 その他の考えられる疾患

その他、婦人科的疾患(子宮筋腫や子宮内膜症、子宮がんなど)、憩室炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などが挙げられます。

3 お腹が張る・膨満感・痛みの検査

3.1 血液検査

血液を採って炎症反応がないか、貧血がないか、肝機能に異常がないか、腎機能に異常がないか、膵臓の機能に異常がないか、電解質に異常がないかなどを調べます。
必要に応じて腫瘍マーカーやピロリ菌などを追加して調べることもあります。

 3.2 腹部超音波検査

腹部超音波検査では肝臓、胆嚢、胆道、膵臓、腎臓などを詳しく観察することができます。それぞれの臓器の形状、表面組織の均一性、血管走行、血流、結石、腫瘍などを観察するのが得意な検査です。
また、腹水の有無についても確認することができます。

3.3 胃内視鏡検査(胃カメラ検査)

鼻または口からカメラのついたファイバーを入れ、食道、胃、十二指腸を直接観察していきます。逆流性食道炎機能性ディスペプシア、慢性胃炎、食道がん胃がんなどの有無を確認できます。また、疑わしい病変があった場合には専用の器具で組織を採取して顕微鏡で詳しく検査することができるため、確定診断に繋がります。

当院の胃内視鏡検査(胃カメラ検査)は鎮静剤を使用して眠ったまま、またはボーッとしたまま、患者様に苦痛なく受けていただくことが可能です。

漫画でわかる胃カメラ検査
胃内視鏡検査

3.4 大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)

肛門からカメラのついたファイバーを入れ、直腸から大腸の始まりまでくまなく観察する検査です。胃カメラ検査同様、組織を採取したり、内視鏡で切除可能と判断した場合にはポリープを切除したりすることができます。採った組織やポリープは顕微鏡検査で病理学的に詳しく評価することが可能です。

当院の大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は鎮静剤を使用して眠ったまま、またはボーッとしたまま、患者様に苦痛なく受けていただくことが可能です。内視鏡で切除可能と判断したポリープがあった場合にはその場で切除することも可能です。

漫画でわかる大腸カメラ検査
大腸内視鏡検査

3.5 CT 検査

CT 検査では X 線を使用して体の内部の詳細な断層像を撮影する検査です。腹部の張りや膨満感の場合、主に腹部全体の CT 検査を行います。これにより腹部全体の臓器が一度に観察できるため、臓器の異常だけではなく、隣接する臓器との関連性や血管走行などの確認をすることができ、さらに腹腔内の深部にある臓器へのアプローチにも有利となっています。

当院でも CT 検査を受けることが可能です。また、当院は造影剤を使用した CTで、さらに詳しく血管走行や腫瘍の血流などを調べることも可能です。

3.6 レントゲン検査

お腹の張りや膨満感を感じる方に対して、まずは簡単に行える検査として活用されています。レントゲン検査は腸の観察においては有利で、ガスの有無や程度、腸管の運動性、腸管内の腫瘍などの観察に優れています。
お腹の張りや膨満感の症状の場合、レントゲン検査だけではなく、超音波検査など他の検査と組み合わせて行われることが多くなっています。

3.7 その他の検査

その他、必要に応じて MRI 検査や尿検査などを行う場合があります。

4 お腹が張る・膨満感・痛みの治療

検査によって診断したそれぞれの疾患に応じて様々な治療方法が選択されます。便秘や慢性胃炎、過敏性腸症候群逆流性食道炎機能性ディスペプシアの場合は生活指導や投薬、対症療法で改善されることがほとんどです。
急性膵炎の場合は絶食、補液、薬剤投与が必要となるため入院して管理されることが多く、胆石症・胆管炎も胆管拡張や胆石摘出が必要となるため、内視鏡を使用した治療や外科的な手術が必要となります。
また、腸閉塞は原因となる腫瘍の摘出、閉塞部を広げるステント手術などが選択されます。

このように、見つかった疾患によっては生活指導から投薬、内視鏡的治療や外科的手術まで治療は多岐に渡ります。

5 お腹が張る・膨満感・痛みに気づいたら

食べ過ぎたり便秘をしているなどの心当たりがある場合には、暴飲暴食を避けたり、水分摂取を励行してしばらく様子を見ても良いかもしれません。しかし、様子を見ても改善されない、全く心当たりがないのにお腹が張る、膨満感がある、痛みがあるという場合にはお近くの消化器内科を受診してください。超音波検査や胃内視鏡検査(胃カメラ検査)、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)、CT 検査を受け、専門医の診断を受けましょう。自己判断することは怖い病気を見逃すことにも繋がってしまい、非常に危険です。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは「お腹が張る」「膨満感がある」「お腹に痛みがある」に対しての検査、診断、治療を行うことが可能です。専門的な治療が必要となった場合には提携する専門医療機関を紹介させていただきます。どんなことでも当院までご相談ください。

 

6 診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

新橋院

大宮院

池袋院

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