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夜間頻尿(夜何度も尿で起きる)の原因・検査・治療について

 

1.夜間頻尿とは

皆さん夜間頻尿と聞いて、どのような状態を想像しますか?夜間頻尿は、読んで字のごとく、夜間トイレに何回も行くということです。「なんだ、何回もトイレに行く事だけか」と思う方も多いかもしれませんが、夜間にトイレに行く事はそんなに単純なことでは無いのです。トイレに3回、4回起きる方もいらっしゃれば、多い方は8回、9回行く方もいらっしゃいます。その度に睡眠を妨げられ、次の日の生活に支障をきたしてしまいます。

また、高齢の方であれば、夜間に暗闇の中、寝ぼけた状態でトイレに行く事は、転倒の原因にもつながります。高齢の方が転倒して骨折した場合は、それが寝たきりの原因となり、死に直結することもあり得るのです。夜間頻尿は、次の日の生活の質を下げるだけでなく、今後の生活にも大きく関わってきます。この記事を読んでいただき、夜間頻尿の症状をお持ちの方は泌尿器科受診に繋げていただけると幸いです

2.夜間頻尿の原因について

夜間頻尿といっても原因は様々で、主に下記の3つが挙げられます。

2-1夜間多尿による夜間頻尿

夜間多尿による夜間頻尿は、夜間作られる尿量が多くなることで何度もトイレに行きたくなり、起きてしまう状態です。夜間頻尿の8割の方が夜間多尿によるものと言われています。人間は、若いうちは昼間の尿量が多く、夜間の尿量が少ないのですが、加齢・高血圧糖尿病・腎機能障害・心臓疾患などの複合的な要因で尿量がどんどん夜間多尿へとシフトしていきます。


夜間多尿による夜間頻尿の方は、膀胱の機能は正常であるため、1回に溜められる尿の量が200 ml〜300 ml以上と正常である事が特徴です。夜間に尿がどんどん作られるので、その合計は1,000 ml以上となり、必然的に3回4回以上起きることになってしまいます。夜間多尿による夜間頻尿なのかを見極めるには、排尿日誌をつけて1回ずつの尿量を測り、自分がどのタイプの夜間頻尿なのかを判断することが大切です。

2-2膀胱蓄尿障害による夜間頻尿

膀胱蓄尿障害による夜間頻尿は、夜間頻尿全体ではあまりいらっしゃいませんが、実はこの中には大きな病気が隠れている場合がありますので注意が必要です。
膀胱蓄尿障害による夜間頻尿は、「夜間作られる尿量は多くないけれど、膀胱に溜められる容量が少ないためにトイレに行きたくなり、起きてしまう」症状です。具体的な数字で言うと50 ml以下しか溜まらないという場合もあります。そうなると夜間作られる合計の尿量が300 ml以下でも、5回6回と起きてしまう場合があります。


蓄尿障害の具体的な原因としては、前立腺肥大症尿管結石症膀胱がん過活動膀胱、尿路感染症が挙げられます。蓄尿障害の原因となっている疾患があるかを検査し、あった場合にはその疾患を治療し、根本的な解決をすることがまず先決と言えます。

2-3睡眠障害による夜間頻尿

睡眠障害による夜間頻尿は、睡眠障害があるため、起きてしまった時についでにトイレに行くという状態です。この状態だと、溜まっている1回の尿量はまちまちで定まっておりません。ですので、その患者様の精神的な背景をよく知り、睡眠障害による夜間頻尿が考えられるならば、睡眠障害の治療を行います

3.夜間頻尿の検査について

3-1尿検査

尿検査は簡単な検査であるにも関わらず、得られる情報量が多いため、必ず行われる検査です。尿の中に白血球や赤血球が混じっていないか、また、癌細胞や、ばい菌が混じっていないかを検査します。

3-2採血検査

採血検査では、夜間頻尿の原因となるような心機能の低下や、腎機能の低下がないか、前立腺がんのマーカーPSAが異常値ではないか、炎症の所見が上がっていないかなどをチェックします。

3-3超音波検査

超音波検査は、体にダメージのない非常に有用な検査です。前立腺肥大症がないか、膀胱がんがないか、尿管結石がないかなどをチェックします。排尿後に膀胱の中にどのくらい残尿(膀胱の中に残っている尿)があるかを測ることもできます。

3-4CT検査

CT検査は、泌尿器科の検査の中では、尿管結石を疑う時にとても重要になります。尿管結石の位置や大きさを把握し、尿管結石が夜間頻尿の原因になっているのであれば、適切な治療に繋げます。

3-5排尿日誌

夜間頻尿の診断に排尿日誌は欠かせません。夜間1回にどのくらいの尿量が溜まるのか、昼間1回にどのくらいの尿量が溜まるのか、夜間に出た尿量が1日の総尿量のどのくらいの割合なのかなどを調べます。

夜間頻尿の診断には、必ずこの排尿日誌が必要になってきます。患者様によってはご自身でダウンロードしてあらかじめ記入して持ってくる方もいらっしゃいます。

4.夜間頻尿の治療について

4-1夜間多尿による夜間頻尿の治療

夜間多尿の治療は、まずは塩分制限と水分制限です。日中の塩分を制限することや、夜寝る前の水分を制限することで夜間の尿量が減ることを期待し、まずは生活習慣の改善で夜間頻尿が改善できるか試します


塩分や水分制限で改善がなく、患者様が希望される場合には内服薬の治療に移ります。内服薬は、夜間の尿量を抑えるようなお薬です。
また、心不全がある方は、心不全の治療をすることで夜間多尿が治る場合があります。
薬にも注意が必要で、高血圧カルシウム拮抗剤と呼ばれるお薬を使っている方は、それを見直す事で夜間多尿が治る場合がありますのでお薬の調整をすることもあります。

4-2膀胱蓄尿障害による夜間頻尿の治療

エコーで確認出来る前立腺肥大

膀胱蓄尿障害の治療は、男性の前立腺肥大症であれば、前立腺肥大症に準じた治療を行います。
女性の過活動膀胱であれば過活動膀胱に準じた内服治療を行います。
また、尿管結石、膀胱がん、尿路感染症がある場合は、手術や抗生剤投与で適切な治療を行ってそれらの原因を除去します。

4-3睡眠障害による夜間頻尿の治療

睡眠障害による夜間頻尿の治療は、泌尿器科では睡眠薬の処方を行います。睡眠薬によるコントロールが難しい場合は、精神科や心療内科の受診をお勧めすることもあります。

5.夜間頻尿を放置すると

夜間頻尿を放置すると、睡眠が妨げられ、生活の質も落ちてしまいますし、高齢の方であれば転倒につながり、寝たきりになってしまう場合もあります。

また、膀胱がん尿管結石などの大きな病気が隠れている場合もありますので、夜間頻尿を自分の判断で放置するのは非常に危険です。

6.夜間頻尿(夜何度もトイレに起きる)かなと思ったら

夜間頻尿(夜間に何度もトイレに起きる)を疑った方は、一度泌尿器科を受診しましょう。大きな病気が隠れていないか、またどのタイプの夜間頻尿なのかを検査により診断し、適切な治療方針を医師と相談しましょう。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、夜間頻尿の検査、診断、診療を行っております。ご質問やご相談などございましたら遠慮なく当院までご連絡ください。

7.診療費用

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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