下痢にお悩みの⽅必⾒!下痢の原因完全攻略
はじめに
下痢の症状は、⼤事な仕事中やイベント中、電⾞の中や屋外など、時間や場所を選ばず突然に襲いかかるため⾮常に厄介です。
厚⽣労働省の2022(令和4)年、国⺠⽣活基礎調査の結果によると、下痢の症状にお悩みの⽅は男性17.9%、⼥性15%で合計16.4%と報告されています。結構な割合で皆さんが下痢に悩んでいるという事がわかります。いつ襲いかかるか分からない下痢の症状に怯えるよりも、前もって対策できるならしておきたいですよね。
そこで今回は「便通異常症ガイドライン2023」を参考に、下痢をおこさないようにできる⽅法を5つお話しさせていただきます。最後までご覧いただけますと幸いです。
1 そもそも下痢とは
下痢とは便の中の⽔分が多い状態を⾔います。
正常な便(バナナ便)の⽔分量は60~70%ですが、80~90%になると軟便(柔らかい便)となり、90%以上になると⽔様便(下痢)となります。
下痢の症状は下記のいずれかが原因で便の中の⽔分量が増える事で起こります。
- 腸からの⽔分の吸収が妨げられている
- 腸液の分泌が過剰になっている
- 腸の蠕動運動が激しすぎて吸収が追いつかない
- 腸の粘膜から体液が流れ出ている
2 下痢の原因完全攻略その① 脂肪⾷を避ける
脂質は唐揚げやフライドポテト、脂肪の多い⾁、中華料理、バターを多く使った洋菓⼦などに多く含まれています。このような脂質の多い⾷べ物は胃の中に留まる時間が⻑く、胃がもたれやすいといった特徴があります。しかも、脂肪を分解する酵素が⼗⼆指腸にあるため、胃ではほとんど分解・消化されず、⼗⼆指腸に運ばれます。⼗⼆指腸に運ばれた脂肪が分解される際にできる脂肪酸が腸を刺激し、腸液が過剰に分泌され、下痢を引き起こしてしまいます。そして食べ過ぎれば食べ過ぎるほど、下痢を起こしてしまうリスクが高まります。
また脂肪⾃体に腸の蠕動運動を促進する働きもありますので、このような原因が絡み合って下痢が起こるのです。
⼤切な⽤事がある前⽇などには脂肪⾷の⾷べ過ぎに注意が必要です。
3 下痢の原因完全攻略その② カフェイン・アルコールを控える
お酒を飲み過ぎた翌⽇に下痢をした経験のある⽅も多いのではないでしょうか。
これは、アルコールやカフェインも腸を刺激して蠕動運動が活発になるため、便として形をなす間もなく出てしまう事で起こります。
さらに⼤量に摂取する事で、腸からの⽔分や電解質の吸収が妨げられる(浸透圧性下痢)ことも原因のひとつです。
ここでひとつ⾖知識として皆様にお伝えさせていただきたいのが、カフェインを多く含む飲料についてです。
「カフェイン=コーヒー」というイメージが強いですが、コーヒーよりも⽟露の⽅がカフェインを2.5倍も多く含んでいるのをご存知でしょうか。好んで⽟露を飲まれている⽅は控える事で下痢の症状がなくなるかもしれませんね。
4 下痢の原因完全攻略その③ ⾷物繊維を摂る
私たちの腸には1000種類、100兆個の腸内細菌が住んでいます。腸内環境を良くするためには善⽟菌(ビフィズス菌や乳酸菌)を増やす事が⼤切であり、善⽟菌を増やすためにはそのエサとなる⾷物繊維を摂取する必要があります。
⾷物繊維には海藻類や⻨類、果物などの「⽔溶性⾷物繊維」と、⾖類や穀類、きのこ類などの「不溶性⾷物繊維」があり、善⽟菌を増やすには⽔溶性⾷物繊維が良いと考えられています。
しかし、例えばフルーツの⽪の部分には不溶性⾷物繊維が含まれており、果実の部分には⽔溶性⾷物繊維が含まれています。また、穀物の殻の部分には不溶性⾷物繊維が含まれており、中の胚芽部分には⽔溶性⾷物繊維が含まれています。
このように、ひとつの⾷品の中にも⽔溶性⾷物繊維と不溶性⾷物繊維が含まれている事もありますので、どちらの種類もバランスよく摂取する事が⼤切です。
同じ指紋を持つ⼈が他にはいないように、腸内環境も⼀⼈⼀⼈異なります。⾷物繊維を摂り過ぎると逆に下痢をしてしまう⽅もいらっしゃいますので、様々な⾷物繊維を摂りながら、ご⾃分で適正量を調整していきましょう。
厚⽣労働省は1⽇の⾷物繊維の摂取⽬標(18〜64歳)を男性で21g以上、⼥性で18g以上としていますが、実際の平均摂取量は14g前後と推定されています。
⾷物繊維が不⾜することは腸内環境の悪化による下痢や便秘を引き起こすだけではなく、様々な病原体による感染を予防したり、免疫を上げたり、発がんを抑制したりする事などが分かっていますので、積極的に摂取したいものです。
5 下痢の原因完全攻略その④ ストレスを上⼿に管理する
ストレスを感じたり、緊張したりした時に胃が痛くなったり、下痢になった経験のある⽅はとても多いと思います。
これは「脳腸相関」と呼ばれ、脳と腸が密接に影響し合っている事が原因という事が分かっています。ストレスを感じるとその情報が脳から胃腸に伝わり、お腹の症状として現れます。また、最近の研究によると、腸内細菌のバランスが悪くなると情報が腸から脳に伝わり、不安やうつ病、認知症などの⼀因となっているのではないかと言われています。
慢性的に下痢の症状にお悩みの⽅は、これらを繰り返すことで、負のスパイラルが起こっているのではないかと考えられます。⾃分は⼤丈夫なつもりでも、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいる可能性もありますので、頑張り過ぎず、時には⾃分にご褒美を与える事も⼤切です。
6 下痢の原因完全攻略その⑤ ⽔分補給をする
それでも下痢を起こしてしまったら、脱⽔にならないように⽔分をこまめに摂取しましょう。脱⽔を起こすと⾎液がドロドロになったり、免疫⼒も低下したりするため、様々な疾患を引き起こすリスクが⾼まります。
尿の⾊は脱⽔のバロメーターであり、「ちょっとだけ⻩⾊」な状態がベストです。⻩⾊が濃かったら脱⽔気味ということを覚えておきましょう。
7 2週間以上続く下痢は危険
ここまで下痢の原因完全攻略法をお話ししてきましたが、これらを試しても2週間以上下痢が続いている場合は必ず消化器内科を受診しましょう。
⽣活習慣を改善しても下痢の症状が治らない場合は⼤腸がんや⼤腸ポリープ、潰瘍性⼤腸炎、虚⾎性腸炎などの怖い病気が隠れている恐れがあります。
また、甲状腺の病気の可能性もありますので、放置する事は⾮常に危険です。
原因を明らかにするために、⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ)やCT検査、腹部超⾳波検査などの設備がある医療機関を受診する事が⼤切です。
8 まとめ
下痢の症状は「いつものこと」「飲み過ぎたから」「最近忙しかったから」など軽視されがちです。
しかし、中には命に関わる病気が隠れている事がありますので、⻑引く下痢の症状がある⽅は医療機関を受診し、検査を受けてみてはいかがでしょうか。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ)、CT検査、腹部超⾳波検査などを受けていただく事が可能です。疾患の早期発⾒・早期治療が何より⼤切と考えておりますので、⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ)も最短で1週間以内に受けていただく事ができます。また、痛みや苦痛を感じずに⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ)を受けていただくために、点滴で鎮静剤を使い、眠ったままの検査を⾏なっております。
経験豊富な専⾨医が対応させていただきますので、安⼼して相談にいらしてください。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。