尿が臭う・尿が泡立つ・尿が濃い原因、検査、治療について
トイレに行って、尿に異常があると皆様は驚かれると思います。
尿が臭ったり、尿が泡立ったり、尿の色がいつもより濃かったりする事は、身体からの何らかのサインです。
この記事では泌尿器科専門医が、様々な尿の異常についてわかりやすく説明しています。
尿の異常な症状について、これを読んでいる皆様の理解や安心に繋がったり、必要な際は泌尿器科を受診することに繋げていただけると幸いです。
1. 尿が臭う
1.1 尿が臭うとは
もともと尿はアンモニアの匂いがします。
ですが、いつもの尿と違う匂いがしていたら、それは体からの何かしらのサインかもしれません。
下記に尿が臭う原因について説明していきます。
1.2 尿が臭う原因について
1.2.1 糖尿病
糖尿病は血糖値が高くなり、尿に糖が漏れ出てくる状態を言います。
尿に糖分が漏れ出てくると尿が甘く臭うことがあります。
尿から甘い匂いがするのであれば、それは糖尿病のサインの可能性があります。
糖尿病は、現在日本で急激に患者数が増えています。
糖尿病を治療せずに放置しておくことはとても危険です。
尿が甘く臭うことがある方は、一度内科や泌尿器科を受診した方が良いでしょう。
1.2.2 尿路感染症
膀胱炎や前立腺炎などでは尿に細菌が大量に混じります。
普段、尿は無菌ですが、尿に細菌が混じり感染が起きると、尿が異臭を放ってきます。
これは決して良い匂いではありません。
尿路感染症は膀胱炎や腎盂腎炎、前立腺炎など多岐に渡ります。
一般的に膀胱炎では熱は出ませんが、前立腺炎や腎盂腎炎などでは高熱が出る事があります。
また、排尿時痛、頻尿(尿の回数が多くなる)、残尿感を伴います。
尿路感染症の治療は抗生剤の投与になります。
治療が遅れると、感染が拡大して入院が必要になることもありますので、尿に異臭がある方は必ず泌尿器科を受診しましょう。
1.2.3 膀胱がんなどの悪性腫瘍
膀胱がんなどの尿の通り道の悪性腫瘍でも、尿に異臭を放つことがあります。
癌は正常な細胞ではないので、作りが非常に脆く、癌細胞が尿の中にこぼれ落ちてきます。
尿の中に癌細胞が多くなると異臭を放つことがあります。
また、膀胱がんの場合には、血尿を伴う事が多いです。
ここまでのお話でお分かりのように、尿の異常は放っておいて良い事は何もありません。
尿に異常があった場合は必ず泌尿器科を受診しましょう。
2. 尿が泡立つ
2.1 尿が泡立つとは
尿が泡立つ事は、そんなに珍しい話ではないと思います。
生活していたら気づくこともあったことでしょう。
尿が泡立つ場合は、正常の場合も多いですが、それが身体からの何らかのサインの可能性もあります。
下記に尿が泡立つ原因を挙げます。
2.2 尿が泡立つ原因について
2.2.1 蛋白尿(タンパク尿)
正常な方は尿の中にタンパク質はありませんが、腎臓の機能が損傷していると、尿の中にタンパク質が漏れ出てきます。
尿の中にタンパク質があると尿が泡立つことがあります。
正常な方でも、朝1番の尿はタンパク質が混じることがありますので、泡立つことが多いです。
一方で、常に尿が泡立っている方は一度腎臓内科や泌尿器科を受診した方が良いでしょう。
腎臓の機能をチェックしてもらった方が良いでしょう。
2.2.2 尿路感染症
尿路感染症でも尿が泡立つことがあります。
先述の通り、膀胱炎や前立腺炎、腎盂腎炎などの時に尿に感染の兆候が現れます。
尿路感染症の治療は抗生剤の投与になります。
尿が泡立つことに加えて、頻尿や残尿感や排尿時痛を感じた方は泌尿器科を受診しましょう。
3. 尿の色が濃い
3.1 尿が濃いことについて
尿の色がいつもより濃い事は身体からのとても重要なサインです。
尿の色の濃さは体の水分量を如実に反映しています。
また血尿があることで、尿が濃く見えることもあります。
尿の色の濃さに気づいた場合は、必ず泌尿器科を受診しましょう。
また、正常な尿の色は完全に透明な色ではなく、少しだけ黄色がついた位が適切な尿の色で、なおかつ適切な水分量の現れだと言われています。
ぜひ適切な量の水分を取る際の参考になさってください。
3.2 尿が濃い原因とは
3.2.1 血尿
泌尿器科の病気の中で、最も怖いのが血尿です。
血尿は悪性腫瘍のサインであったり、尿管結石のサインであったり、尿路感染症の兆候でもあります。
付随して、排尿時痛や頻尿、残尿感などの膀胱刺激症状がある場合は、尿管結石や尿路感染症の可能性が強くなります。
他に症状が何もなく、血尿だけがある場合は、膀胱がんなどの悪性腫瘍を疑わなければいけません。
尿の色が濃いことに気づいた場合はそれが血尿の可能性がありますので、必ず泌尿器科受診をした方が良いでしょう。
3.2.2 脱水
尿の色が濃い場合は、脱水の可能性があります。
体の中の水分量が減少すると、尿の量が少なくなり、尿の濃度が高くなり、尿の色が濃くなります。
例えば、暑い日に水分をあまり取らないでいると熱中症になり脱水になってしまいます。
その場合は尿量も少なく、色も濃くなります。
皆さんご存知のように脱水は命の危険に繋がります。
暑い日に尿の量が少なく、色が濃いと感じた場合は脱水の可能性がありますので、水分をしっかり補給することをお勧めします。
3.2.3 ビリルビン尿
膵臓がんや胆石などで胆管が詰まることで、胆汁が血液中をめぐり、胆汁の主成分であるビリルビンが尿の中に出てきます。
ビリルビンは尿の色を濃くします。尿検査でビリルビンが含まれているかは判別可能です。
4 尿に異常があった時の検査
4.1 尿検査
尿検査では尿の中に細菌がいないか、白血球がないか、赤血球がないか、癌細胞がないかを確認できます。
尿検査は簡単にできる検査にも関わらず、得られる情報量が非常に多いです。
尿が臭ったり、尿が泡立ったり、尿が濃い場合は、必ず尿検査を行います。
4.2 採血検査
採血検査は、体の中の炎症反応(白血球、CRP)が上昇していないか、腎臓の機能が保たれているか、電解質バランスは正常かなどを確認します。
また採血で糖尿病がないかも確認する事が出来ます。
4.3 超音波検査
超音波検査は、身体にダメージがなく、短時間で尿の通り道の観察ができるため、非常に有用な検査です。
超音波検査は腎臓や尿管、膀胱、前立腺を詳細に確認する事ができます。
また、尿管結石や膀胱がんも超音波検査で分かる場合も多いです。
当院でも超音波検査を行っております。
詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。
4.4 CT検査
CT検査は多少の放射線被曝がありますが、体の中のことが詳細に分かるとても優秀な検査です。
CT検査でも尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱・前立腺)の異常が判断できます。
尿管結石もCT検査で診断する事ができます。
CT検査は当院でも行っております。
詳しくは当院医師、スタッフまでお尋ねください。
4.5 膀胱鏡検査
膀胱がんや膀胱結石を疑った場合は、膀胱鏡検査を行います。
膀胱鏡検査は、尿道からカメラを入れて、尿道と膀胱の表面を直接観察します。検査時間は3分程度です。当院では軟性膀胱鏡といって柔らかい膀胱鏡を使用しているため、痛みを最小限に抑えた検査を受けていただく事が可能です。
詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。
5 尿の異常に気付いたら
尿の異常に気づいたら、放置せずに、必ず泌尿器科や内科のクリニックを受診しましょう。
膀胱がんや尿路感染症や脱水症では、放置することで命に関わることもありますし、治療が遅れると身体に大きな悪い影響が出てしまいます。
尿の異常に気づいた方は、必ず近くの泌尿器科や内科のクリニックを受診しましょう。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは尿の異常に対する適切な検査、診断、治療が可能です。
どんなことでもお気軽にご相談ください。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。