アニサキス症の症状・原因・検査・予防・治療について
アニサキスは寄生虫の一種です。長さ2~3cm、幅0.5~1mmで白い紐のように見えます。
アニサキス症とは、アニサキスが寄生した海産魚介類の生食によって食中毒症状を引き起こすことです。
この記事ではアニサキス症の病態・検査・治療法について解説しましたので、参考にしていただければ幸いです。
1アニサキスとは何か
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。長さ2~3cm、幅0.5~1mmで白い紐のように見えます。サバを始めとして、アジやイワシ、イカ、サンマなどに寄生し病原体となります。
2アニサキス症とは
アニサキス症とは、アニサキスが寄生した海産魚介類(サバ、アジ、イワシ、イカ、サンマなど)の生食することによって、アニサキスが消化管(胃や腸)の壁に侵入することで激しい食中毒症状を引き起こします。アニサキス症は、12~3月の寒気に多く発生します。
3アニサキス症の現状
近年アニサキス感染症の届け出が義務化されたことで、アニサキス症の報告が増加しています。日本人は刺身や寿司などの海産魚介類の生食の機会が多いため、アニサキス症の9割程度は日本人が占めているとの報告があります。
近年では海外でも刺身や寿司などの日本食の流行に伴い、増加していくことが予想されます。
4アニサキス症の原因・リスク
アニサキス症の原因はアニサキスが寄生した海産魚介類(サバ、アジ、イワシ、イカ、サンマなど)の生食です。
5アニサキス症の症状について
アニサキス症は、大半はアニサキスが胃壁に侵入する胃アニサキス症ですが、その他腸アニサキス症や消化管外アニサキス症、アニサキスアレルギーなどがあり、下記のような症状が現れます。
5.1胃アニサキス症
海産魚介類の生食後、数時間後から激しい腹痛、吐き気、嘔吐を引き起こします。
5.2腸アニサキス症
腹痛や吐き気、嘔吐を引き起こし、まれに腸が詰まったり(腸閉塞)、腸に穴があく腸穿孔を引き起こします。
5.3消化管外アニサキス症
まれに消化管の壁を破って消化管の外の腹腔内に広がり、腸管の膜や皮膚などに広がり症状を引き起こします。症状はアニサキスが広がった場所や重症度によって異なります。
5.4アニサキスアレルギー
主に蕁麻疹などの軽いアレルギー症状を引き起こしますが、まれに血圧低下、呼吸困難、意識障害などといったアナフィラキシーショックで重症となることもあります。
6アニサキス症の検査について
6.1血液検査
血液検査では炎症反応の上昇や、好酸球・免疫グロブリンE(IgE)の確認をします。アニサキス症ではこれらの値の増加を認めます。
6.2上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
胃アニサキス症の場合は、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)でアニサキスの虫体を内視鏡下で見つけることが確実な診断方法です。
6.3腹部CT検査
CT検査ではアニサキス虫体を見つけることはできませんが、胃や腸のむくみや炎症の程度、腸閉塞の診断が可能です。当院でもCT検査を行っております。
7アニサキス症の治療について
7.1胃アニサキス症
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)でアニサキスの虫体を確認し、そのまま内視鏡下で鉗子によって侵入している胃壁ごとアニサキスを取り除き回収します。
7.2腸アニサキス症・消化管外アニサキス症
腸の中や消化管外にあるアニサキスを見つけるには、バルーン内視鏡など特殊な内視鏡を使う必要があり、体の負担も大きいことから、まずは点滴などの対症療法が行われます。
腸の穿孔や腸閉塞を起こしてしまった場合には手術が行われる場合もあります。
7.3アニサキスアレルギー
抗ヒスタミン薬やステロイド治療を行います。血圧低下や呼吸困難、意識障害などアナフィラキシー症状のある際は命に係わる状態のため、アドレナリンの注射や酸素投与、入院加療が必要となる場合があります。
8アニサキス症の予防について
海産魚介類の生食を避けること、加熱(60℃で1分以上)や冷凍処理(-20℃で24時間以上)することが予防法となります。
9アニサキス症を放置すると
アニサキスは数日から1週間程度で死滅すると言われており、放置してもいずれ症状がなくなる場合が多いです。
ただアニサキス症の症状は強烈なことが多く、早期に胃カメラ(上部消化管内視鏡)で虫体を回収することで、症状の早期改善が見込まれます。
またまれに腸の粘膜に侵入して穿孔を起こしたり、炎症が重症化する場合もあるため、腹痛が長く続く場合は早めの受診が望まれます。
10アニサキス症の患者様の経過の例
10.1 38歳女性
前日夕食にシメサバを摂取した。
夜間から腹痛、吐き気、嘔吐が出現したため、当院を受診した。アニサキス症を疑い上部消化管内視鏡検査を行ったところ、胃体部(胃の真ん中の部分)に胃壁に侵入したアニサキス虫体を認め、周囲の胃壁の発赤と浮腫を認めた。
その場で鉗子により侵入した胃壁ごとアニサキス虫体を回収した。その後症状は軽快し帰宅された。
11アニサキス症の症状かなと思ったら
海産魚介類の生食後の強烈な腹痛や吐き気、嘔吐などの症状があった際は、必ず消化器内科を受診しましょう。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、アニサキス症の適切な検査・診断・治療が行えます。
詳しくは当院医師・スタッフまでお気軽にお尋ねください。
12診療費用
当院は全て保険診療です。初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
尿流量動態検査 | 1500円 |
膀胱鏡検査 | 3000円 |
胃カメラ | 4000円前後 |
大腸カメラ | 5000円前後 |
※3割負担の場合
名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。