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血圧の正しい測り方〜高血圧の方は必見です〜

[2024.02.13]

はじめに

「⾎圧はどんな時に、どのような姿勢で測ったら良いかご存知ですか?」

実は多くの⽅が、正しい値が得られる⾎圧の測り⽅をしていない可能性があるのです。

本⽇は⽇本で 4,300 万⼈いると⾔われている⾼⾎圧の患者様に向けて、意外とみなさん知らない、正しい⾎圧の測り⽅をお伝えさせていただこうと思います。

そもそも血圧って何?

⼼臓から送り出された⾎液が⾎管の壁を押す圧⼒のことを⾎圧と⾔います。
⼼臓がギュッと収縮して全⾝に⾎液を送り出すときの最⼤圧⼒を収縮期⾎圧(最⾼⾎圧)と⾔い、収縮した⼼臓がリラックスして拡張した時に⾎管にかかる圧の事を拡張期⾎圧(最低⾎圧)と⾔います。

⾼血圧とは

⾼⾎圧とは収縮期⾎圧(最⾼⾎圧)が 140mmHg、収縮期⾎圧(最低⾎圧)が 90mmHg 以上の場合を指します。
リラックスできるご⾃宅で測定する⾎圧では収縮期⾎圧(最⾼⾎圧)が 135mmHg、収縮期⾎圧(最低⾎圧)が 85mmHg 以上の場合を⾼⾎圧としています。

⾎圧が⾼いまま放置してしまうと、⾎管の壁が傷ついて破れたり、弾⼒を失って硬くなったり(動脈硬化)して、脳出⾎や脳梗塞、⼼筋梗塞などの様々な⾎管の病気に繋がってしまいます。

⾼⾎圧の患者数は⽇本では 4,300 万⼈いるとされていますが、そのうちの 1/3の⽅しか⾎圧が適切にコントロールされていないと⾔われています。残り 2/3の⽅は適切にコントロールされていないか、そもそも⾼⾎圧であることすら⾃覚をしていない可能性があるのです。

⾼⾎圧はサイレントキラーと呼ばれ、⾃覚症状がありません。
突然脳梗塞や⼼筋梗塞を発症し、命に関わる深刻な状態になってしまう⽅もいらっしゃいますので、放置することは⾮常に危険であり、⾎圧は適正な値にキープしておく必要があります。

そこで、誰もが普段の⾎圧がどのくらいなのかを理解しておくことが⼤切で す。そして正しい値を知るには正しい⽅法で⾎圧を測定することが不可⽋と⾔えます。

正しい血圧の測り⽅ 〜測定する時間・状態〜

⾎圧を正しく把握するためには、毎⽇同じ条件で測定しなければなりません。
⼀般的に⾎圧はリラックスしている時間や睡眠中は低く、運動したり興奮したりしている状態では⾼くなる傾向があります。
さらに⾎圧は⽇内変動(1 ⽇の中でも変動があること)があり、午前は低く、活動する午後になるにしたがって⾼くなっていきます。そのため、毎⽇決まって同じ条件下で測定することが⼤切です。

測定は 1 ⽇ 2 回とし、時間帯は下記としましょう。

  1.  朝の起床後、トイレを済ませ、⾷事前にリラックスした状態で 2 回
  2. 夜寝る前にリラックスした状態で 2 回

まず、朝起きて排尿を済ませ、⾷事をする前にリラックスした状態で測りましょう。さらに1分以上時間をあけてもう⼀度測定します。夜、寝る前も同様にリラックスした状態で 2 回測定します。

朝と夜それぞれ2回測定したうちの低い⽅の数字を採⽤し、⾎圧⼿帳などに記⼊してください。

正しい血圧の測り⽅ 〜正しい姿勢〜

⾎圧を測る際には正しい姿勢も⼤切です。下記にそのポイントを挙げてみました。

  •  背もたれのある椅⼦に腰掛けるなどリラックスした体勢
  •  脚は組まない(脚を組むと⾎管が圧迫され、⾎圧が⾼くなります)
  •  肘は⼼臓の⾼さにして、まっすぐに伸ばす
  • しゃべらない

また、椅⼦に腰掛け、5分ほどリラックスしてから測定すると正しい数値が得られると⾔われています。

正しい血圧の測り⽅ 〜正しい測定位置

⽇本循環器学会では上腕部(⼆の腕)で測定することが推奨されています。より⼼臓に近い位置で測定するため、正しい数値が得られやすいためです。

⼿⾸で測定する⾎圧計は、コンパクトであったり携帯できたりというメリットがありますが、⼼臓から離れているため、正しい結果が得られにくいというデメリットもあります
そこで、⼿⾸で測定する⾎圧計を使⽤する際のポイントは「⼿⾸を⼼臓と同じ⾼さにし、⾼低差をなくす」という事です。このようにすると⼼臓との⾼低差がなくなり、重⼒の影響を受けづらくなるため、正確な値が得られやすいと⾔われています。

正しい血圧の測り⽅ 〜正しい服装〜

⾎圧は⾎管内の微⼩な⾎流や⾎管壁の振動などから測定されますので、厚着をしている上から測定しても正しい結果が得られません。
また、腕まくりをした状態で測定すると上腕を締め付け、⾎管も締め付けてしまいますので、こちらも正しい結果が得られません。
⾎圧を測定する際はなるべく薄着でのシャツ 1 枚で、腕まくりはしないようにしましょう。

まとめ

⾼⾎圧の患者様は規則正しい服薬に加えて、⽣活習慣の改善にも取り組んでいらっしゃいます。頑張ってきたが故に、効果を期待して、測定した⾎圧に⼀喜⼀憂しがちですよね。
⾎圧は⼼臓が1回ギュッと動くたびに変動するものです。また、体調によっても⼤きく変動します。測定した⾎圧が⾼くても低くても⼀喜⼀憂せず、毎⽇コツコツと測定していくということが⼤切です。
診察室の中で測定する⾎圧は患者様の緊張もあり、値が⾼く出てしまうケースがほとんどです。ですので、私たち医師は患者様が本当にリラックスした環境で測定した⾃宅⾎圧を何より参考としています。
ぜひ今回お話しした正しい⽅法で測定してみてください。診察室では得られない正しい情報がそこにはあるのです。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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