胃もたれ・げっぷ・胸焼けの原因となる病気、検査、治し方について
胃もたれや胸やけ、げっぷで悩んでいる方は非常に多いです。
朝起きたら胸やけがある、食後に胃もたれするようになった、最近ゲップが多くなったなど悩みは人によって様々です。
日本人の3人に1人がこのような症状があると言われております。
このページでは胃もたれや胸焼け、げっぷについて、その原因や検査、治療についてわかりやすく解説していきたいと思います。
1 胃もたれとは
胃もたれとは、特に食後に起こり、胃が重苦しく感じられる状態です。
胃や食道の運動機能や消化機能が正常に働いていないと、食後、胃に食べ物が長く留まっているような状態を感じるようになります。
1-1 胃もたれの原因
1-1-1 食べ過ぎ
一度に大量の食べ物を食べることで、胃が食べ物を消化しきれなくなり、胃に長時間食べ物が留まり、その結果、胃もたれを起こします。
1-1-2 脂肪食の摂取
脂肪を多く含んだ食べ物は、消化に時間がかかるため、胃に長く食べ物が留まり、胃もたれを起こします。
1-1-3 ストレス
ストレスは胃腸の動きを悪くするため、長く食べ物が胃に留まってしまいます。
その結果、胃もたれを引き起こします。
1-1-4 逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や食べたものが食道に逆流することで起こる症状です。
結果的に、胃や食道に食べ物が長く留まるため、胃もたれを引き起こしてしまいます。
1-1-5 胃潰瘍
胃潰瘍があると、胃が正常な量の食べ物を消化できないため、胃もたれを引き起こすことがあります。
また、コーヒーや辛いものなどの刺激物が、胃潰瘍の潰瘍部分を刺激することで、胃もたれの症状が強く出ることがあります。
1-1-6 胃がん
胃がんが大きくなると、食べ物の通過を妨げるため、食べ物が胃に長く留まることになり、胃もたれの原因となります。
2 げっぷとは
げっぷとは、胃や食道の空気が逆流して口から出ることをいいます。
炭酸飲料を飲んだ際や、一時的なゲップであれば問題ありませんが、数日~数週間続くゲップは、大きな病気が隠れている可能性もあります。
2-1 げっぷの原因
2-1-1 炭酸飲料
炭酸飲料を飲むことで胃に炭酸ガスが溜まり、その炭酸ガスが逆流することで、口からゲップが出ます。
こちらは正常な身体の反応です。
2-1-2 飲食の際の空気の飲み込み
飲食の際に急いで食べたり、話しながら食べたりすることで空気を一緒に飲み込んでしまいます。
その空気が胃の中に溜まって、口からゲップとして出てくることがありますが、こちらも正常な反応です。
2-1-3 逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や食べ物が胃から食道に逆流することで起きる症状の総称です。
胃酸や食べ物が逆流する際に、食道の空気が口に漏れ出てくると、ゲップとして症状が現れます。
2-1-4 胃がん、食道がん
胃がんや食道がんでも、食べ物の通過が悪くなるため、胃や食道の圧力が上がり、溜まった空気が口に逆流してくることでゲップの症状が出てくることがあります。
3 胸焼けとは
胸焼けとは、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで食道の上部にある胸の部分に灼熱感や不快な感じが出ることをいいます。
一時的な胸焼けではなく、数日間続く胸焼けは、怖い病気が隠れている可能性があります。
3-1 胸焼けの原因
3-1-1 食べ過ぎ
食べ過ぎることで、胃の内容物が食道に逆流し、胸焼けを引き起こすことがあります。
3-1-2 ストレス
ストレスで胃や食道の動きが悪くなり、食道に胃酸や食べ物が逆流して胸焼けを引き起こすことがあります。
3-1-3 逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や食べ物が逆流することが原因で起きる症状で、胸やけもその症状の1つとして挙げられます。
3-1-4 胃がん、食道がん
胃がんや食道がんでも、食べ物の通過が悪くなるため、胃酸や食べ物が逆流しやすくなり、食道に逆流することで、胸焼けの症状が起こることがあります。
4 胃もたれ・げっぷ・胸焼けの検査
4-1 超音波検査
超音波検査は、身体に害がなく、お腹の中の臓器を検査することができるとても有用な検査です。
周囲から胃を圧迫している臓器が無いか、胃に隣接する膵臓や肝臓などに大きな異常が無いかなどを検査することができます。
当院でも超音波検査を行っております。
詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。
4-2 胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)
長く続く胃もたれやゲップ、胸焼けがある場合は、必ず胃カメラ検査を受けた方が良いでしょう。
胃がんや食道がんや胃潰瘍が隠れている可能性もあります。
また、逆流性食道炎の症状や程度も胃カメラ検査で分かります。
胃カメラ検査を受け、大きな異常がないことを確認して安心感を得ることも大切です。
当院では眠ったままで苦痛のない胃カメラ検査が可能です。詳しくは当院医師・スタッフまでお尋ねください。
4-3 CT検査
CT検査は多少の放射線被曝がありますが、お腹の中の状態を詳細に知ることができる、とても有用な検査です。
胃だけではなく、肺や腸、肝臓、膵臓、腎臓などお腹や胸の中の状態が隅々まで良く分かります。
当院でもCT検査を行っております。詳しくは、当院医師スタッフまでお尋ねください。
5 胃もたれやげっぷ、胸焼けの治療、治し方
5-1 生活習慣の改善
逆流性食道炎は、生活習慣の改善でも治療することができます。
肥満を改善したり、食べ過ぎを直したり、アルコールを控えたり、脂肪分を含んだ食事を控えたりすることで、逆流性食道炎の症状が改善することもあります。
5-2 内服薬の服用
生活習慣を改善しても効果が不十分な場合は、内服薬を使用します。
胃酸を抑える薬や、胃や食道の動きを改善するお薬を飲むことで、逆流性食道炎の症状を治めます。
5-3 胃がん・食道がんに対する内視鏡的治療
早期の胃がんや食道がんに対しては、内視鏡的な治療を行います。
お腹を切らずに治療ができるので、早期の胃がんや食道がんは身体にダメージがなく治療することができます。
5-4 胃がん・食道がんに対する外科治療
進行した胃がんや食道がんはお腹を切開して外科的に癌を摘出する必要があります。
最近では、ロボット手術や腹腔鏡手術が主流になってきているため、身体にダメージが少なく外科手術が可能になってきています。
5-5 胃潰瘍に対する治療
胃潰瘍に対しては、胃酸を抑えるお薬を内服します。
2ヶ月ほど胃酸を抑えるお薬を内服した後に、胃カメラ検査で胃潰瘍が治っているかを確認します。
6 胃もたれ、げっぷや胸焼けで受診された方の例
6-1 42歳男性
2ヶ月前からの胃もたれで当院を受診。麻酔を使った胃カメラ検査で逆流性食道炎と診断。
内服薬と生活習慣の改善で胃もたれの症状は治まり、その後の経過は良好。
6-2 51歳男性
半年ほど続く胸焼けで当院を受診。
胃カメラ検査と組織検査で進行した食道がんと診断。
大学病院に紹介し、ロボット手術による食道がんの治療を行った。
7 胃もたれ、げっぷや胸焼けを放置すると
胃がんや食道がんがある場合は、放置することで癌が進行してしまいます。
また、胃潰瘍がある場合は、放っておくと胃に穴が開いてしまう場合もあります。
8 胃もたれやげっぷ、胸焼けがあるかなと思ったら
一時的ではなく、数日~数週間続く胃もたれやゲップ、胸やけがある場合は、必ず胃カメラ検査を行えるクリニックや病院を受診しましょう。
早期発見することで早期治療をすることができます。
早期に発見できれば治療による身体へのダメージを最小限に抑えることができます。
当院では鎮静剤を使用し、眠ったままで苦しまない胃カメラ検査が可能です。
詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
9 診療費用
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
尿流量動態検査 | 1500円 |
膀胱鏡検査 | 3000円 |
胃カメラ | 4000円前後 |
大腸カメラ | 5000円前後 |
※3割負担の場合

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。