逆流性食道炎の症状・原因・検査・治療(薬や自力での治し方)について
逆流性食道炎(胃食道逆流症)の症状の特徴である、ゲップ、胸焼け、胃もたれ、胃痛などで悩んでいる方は非常に多いのではないでしょうか。
逆流性食道炎で悩んでいる方はとても多く、日本人の3〜4人に1人はいると言われております。
このページでは逆流性食道炎(胃食道逆流症)の症状や原因、検査、治療(薬や自力での治し方)について最新のガイドラインに基づいて、消化器内科専門医が詳しく説明していきます。
逆流性食道炎について、これを読んだ皆様の理解の助けになりますと幸いです。
1 逆流性食道炎とは
食道と胃の関係は図のようになっています。
胃の中には胃酸という非常に強い酸が分泌されており、胃酸が食べ物の消化を助けています。
逆流性食道炎とは、胃から食道に胃酸が逆流することで起こる様々な症状の総称です。
もともとは、逆流性食道炎は胃酸が逆流するという概念でしたが、現在では胃酸以外のものが逆流しても症状が起こるとされており、例えば食べたものや飲んだものが逆流しても逆流性食道炎の症状が起こると言われています。
また、胃酸だけではなく、食物が逆流することで食道が傷つき、食道がんのリスクが上昇すると言われています。
2 逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の症状は、胸焼け、ゲップ、胃痛、胃もたれ、吐き気、呑酸(口の中が酸っぱく感じる)などがあります。また、長引く咳や喉の違和感等も逆流性食道炎の症状です。
長引く咳や喉の違和感の原因が、風邪などではなく、胃酸が逆流して起こっている場合もあるのです。
そのため、内科に行っても咳や喉の違和感が解決しない場合は、胃カメラ検査を受ける必要があります。
また、先述のように逆流性食道炎があることで食道がんのリスクも上昇するため、このような症状がある場合は、胃カメラ検査を受けることが非常に大切です。
3 逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の原因は、下部食道括約筋(胃と食道の境目で、胃酸の逆流を防いでいる筋肉)が緩むことが主な原因となります。下部食道括約筋が緩む原因としては、加齢や肥満が挙げられます。
また、甘いものの摂取、喫煙、暴飲暴食、飲酒、食べた後すぐ横になることなども逆流性食道炎の症状を悪化させる原因となります。
4逆流性食道炎と似た症状の病気
逆流性食道炎と似た症状を起こす病気として下記の病気などが挙げられます。これらの病気の除外の為にも、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)を受けることは非常に大切です。
4.1胃がん
胃がんが大きくなり、食道から胃に食べ物が落ちづらくなると食物が逆流しやすくなり、逆流性食道炎のような症状が出てきます。
4.2食道がん
食道がんが大きくなって、食べ物が落ちづらくなると、ゲップや胸やけ、喉のつかえ感など、逆流性食道炎のような症状が出てきます。
4.3胃潰瘍
胃潰瘍では、食後に強い胃の痛みを感じます。逆流性食道炎でも胃の痛みが出る場合があるので、診断には胃カメラ検査が必須となります。
胃潰瘍は放っておくと胃に穴が開いてしまうため、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)で確認をした後に、早急な治療が必要になります。
5逆流性食道炎の検査
5.1超音波検査
超音波検査は身体に害がなく、得られる情報量の多いとても優秀な検査です。
超音波検査で胃のおおまかな観察ができますし、胃の周囲の膵臓や肝臓などに大きな腫瘍があるために胃などが圧迫されていないか等も確認できます。当院でも超音波検査を行っております。
詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
5.2採血検査
採血検査では、身体の中に炎症反応がないか、肝臓の機能や膵臓の機能は問題ないかを確認します。また、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)の前には感染症の有無を確認します。
これは万が一、感染症があった場合、人に移すことのないように、また、他の人から感染しないようにするための採血です。
5.3胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
逆流性食道炎を疑った場合には、胃カメラ検査が必要となってきます。胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)をして胃がんや食道がんや胃潰瘍がないことを確認します。
当院の胃カメラ検査は、麻酔を使って眠ったまま、苦しまずに検査を受けることが可能です。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
5.4CT検査
CT検査では、お腹の中に大きな異常が無いか、大きな腫瘍がないか等を確認します。逆流性食道炎を疑った場合に必ず行う検査ではありませんが、全身状態が悪い場合や腹痛が強い場合は、CT検査を行い、他の病気が隠れていないかを確認します。
CT検査は多少被曝を伴いますが、得られる情報量の多いとても有用な検査です。当院でもCT検査を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
6逆流性食道炎の治療
6.1内服薬
逆流性食道炎の治療の基本は内服薬となります。強い酸である胃酸を抑えるお薬を飲むことが基本になります。また、食道と胃の動きを活発にして、胃酸や食物をスムーズに十二指腸に流すためのお薬を内服します。
6.2生活習慣の改善(自力での治し方)
生活習慣の改善でも、逆流性食道炎が完治する事はありますが、基本的には内服薬を飲みつつ、生活習慣の改善にも取り組んでいただくことになります。
暴飲暴食を避けたり、過度の飲酒や喫煙を止めて、肥満の場合は適性体重まで落とすことが逆流性食道炎の改善につながります。
だからと言って、自力で生活習慣の改善だけで直そうとはせず、しっかりと医療機関で胃カメラ検査を受けて、内服薬などの適切な治療を受けましょう。
6.3外科治療
重度の逆流性食道炎の方には、胃酸を逆流させないための手術を行う場合があります。
当院では手術を行っておりませんが、必要な場合は適切な病院をご紹介させていただきます。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
7逆流性食道炎の症例の紹介
7.1 30歳男性
2週間前からの胃痛、胸焼けで受診。胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)にて重度のの逆流性食道炎と診断。胃酸を抑える薬と生活習慣の改善で逆流性食道炎の症状は治まった。
7.2 42歳女性
前日からの激しい胃痛にて受診。胃カメラ検査にて胃潰瘍と診断。検査当日から胃酸を抑える薬を8週間内服し、8週間後の胃カメラ検査で胃潰瘍の治癒を確認。
8 逆流性食道炎を放置すると
ゲップや胃もたれの症状が逆流性食道炎だと思い込み、生活習慣の改善だけで治そうとして医療機関を受診しないのはとても危険です。
もし、胃潰瘍や胃がんや食道がんが隠れており、それを放置すると、大きな手術が必要になったり、命に関わる場合もあります。
ゲップや胃もたれ、胃痛、胸焼けなど感じた方は、必ず消化器科を受診して、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)を受けましょう。
9 逆流性食道炎かなと思ったら
先述の通り、逆流性食道炎かなと思っても大きな病気が隠れている場合もあります。
逆流性食道炎の症状がある方は必ず胃カメラ検査が受けられる医療機関を受診しましょう。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは麻酔を使い、眠ったままの苦しまない胃カメラ検査が可能です。お気軽に当院医師スタッフまでお尋ねください。
10診療費用
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
尿流量動態検査 | 1500円 |
膀胱鏡検査 | 3000円 |
胃カメラ | 4000円前後 |
大腸カメラ | 5000円前後 |
※3割負担の場合
名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。