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胃ポリープの原因・症状・検査・治療(切除)について

胃ポリープと聞いてどのようなことを想像するでしょうか。

胃ポリープとは胃の壁の最も浅い粘膜から内側に盛り上がったイボ状の隆起のことです。多くは無症状で、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で偶然発見されることがほとんどです。

まれに出血により貧血を起こしたり、癌化したりするものがあります。
この記事では胃ポリープの病態、検査、治療法について解説しますので参考にしていただければ幸いです。


1 そもそも胃とは何をするところか

胃は、食べ物の通り道の消化管の一つで、食道と十二指腸の間にあります。

食べ物を貯め、消化酵素の胃酸によって消化し、時間が経つと食べ物を十二指腸に送り込みます。

2 胃ポリープとは

胃ポリープとは胃の壁の最も浅い粘膜から内側に盛り上がったイボ状の隆起のことです。

胃ポリープは過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、その他(炎症性、家族性など)に分類されます。

過形成性ポリープは大半が赤色で、胃の中の様々な場所に発生し、大きさも様々です。

大半が無症状ですが、まれに出血を起こし貧血の原因となったり、2cmを超える大きなものはがん化したりしている可能性があるので、注意が必要です。

一方、胃底腺ポリープは周囲の胃の粘膜と同じ色をしています。また、大半は5mm以下の大きさのもので、胃の大弯側に複数みられることが多いです。

ピロリ菌陰性(ピロリ菌に感染していない状態)の炎症のない胃に発生します。


また逆流性食道炎などで胃薬(プロトンポンプ阻害薬やボノプラザン)の長期内服で大きくなったり、数が増加したりするという報告があります。

まれにがん化の報告がありますが頻度は極めて低く、経過観察で問題ありません。

胃カメラで観察出来る胃底腺ポリープ

3 胃ポリープの現状

胃底腺ポリープに関しては、ピロリ菌感染患者数の低下、胃薬(プロトンポンプ阻害薬やボノプラザン)内服の増加により増加傾向と言われています。

4 胃ポリープの原因・リスク

過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ菌感染で胃粘膜が萎縮している胃に発生します。

一方で胃底腺ポリープはピロリ菌陰性の炎症のない胃に発生します。
また逆流性食道炎などで胃薬(プロトンポンプ阻害薬やボノプラザン)の長期服用をすることで、大きくなったり数が増加したりするという報告があります。

5 胃ポリープの症状について

胃ポリープは大半が無症状です。まれに過形成性ポリープから出血し、黒色便や貧血を起こすことがあります。

6 胃ポリープの検査について

6.1 血液検査

胃ポリープから出血を起こした場合には、貧血の値であるヘモグロビン値の低下が認められます。

6.2 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)によって、ポリープの種類や数、大きさを調べたり、生検(組織を採取して細胞の検査をすること)によりがん化しているかなどを調べたりすることができます。

胃カメラで観察できる胃ポリープ

6.3 胃バリウム検査

バリウムを飲んで胃の中に広げ、表面の凹凸をレントゲンで観察する検査です。ポリープの部位や大きさを調べることができます。

7 胃ポリープの治療について

胃ポリープの大半は治療の必要はありません。しかし出血やがん化している可能性が高い場合には下記の治療を行います。

7.1 ピロリ菌除菌治療

過形成性ポリープはピロリ菌感染に関連している場合が多く、ピロリ菌感染を調べ、もし感染している場合には除菌治療をすることで、ポリープが小さくなる場合があります。

また除菌治療することで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍胃がんのリスクを減らすことができます。

7.2 内視鏡的切除

過形成性ポリープから出血して貧血の原因となっている場合や、がん化の可能性があるもののみ、内視鏡的切除の適応があると考えられています。

胃カメラの先端からスネアという金属の輪っか状のワイヤーを出してポリープを縛って切除します。

また、胃カメラの先端から局注針という注射針で水を入れ、ポリープと粘膜を浮き上がらせてから、切除する場合もあります。一方で胃底腺ポリープの場合は原則切除不要です。

8 胃ポリープの予防について

胃ポリープの予防は原則不要です。

9 胃ポリープを放置すると

過形成性ポリープの場合は出血により貧血を起こしたり、2cm以上でがん化の恐れがあったりする場合には、内視鏡的切除が考慮されます。

また背景にピロリ菌が感染している場合も多く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんのリスクもあるため、ピロリ菌感染の有無を調べることが大切です。一方で、胃底腺ポリープは経過観察で問題ありません。

10 胃ポリープの患者様の経過の例

10.1 42歳女性

検診で行われた胃バリウム検査で胃体部にポリープの指摘があり、当院を受診された。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)を行い、胃体部大弯に2~3mm大のポリープを複数認めた。胃底腺ポリープの診断となり、経過観察の方針とした。

1年後に上部消化管内視鏡検査が行われたが特に変化なく経過している。

10.2 70歳女性

胃がん検診で上部消化管内視鏡検査を行い、胃内に1cm以下の発赤調(赤い色をした)ポリープが多発していた。また胃粘膜の萎縮と発赤所見がみられ、ピロリ菌感染が疑われた。

ポリープに関しては過形成性ポリープの診断で経過観察の方針とした。


また血清抗体検査でピロリ菌感染の診断となり、除菌治療を行い、除菌に成功した。1年後に上部消化管内視鏡検査が行われ、胃ポリープはいずれも縮小していた。

11 胃ポリープと言われたら

検診のバリウム検査などで胃ポリープと言われたら、消化器内科を受診し、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けることをお勧めいたします。


新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、胃ポリープの適切な検査・診断が行えます。治療が必要な場合は適切な病院へご紹介いたします。


詳しくは当院医師・スタッフまでお気軽にお尋ねください。

12 診療費用

当院は全て保険診療です。初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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大宮院

池袋院

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