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潰瘍性大腸炎の原因・症状・検査・治療について

潰瘍性大腸炎と聞いてどのようなことを想像するでしょうか。

著名人の方も数名、潰瘍性大腸炎で苦しんでいたとのエピソードもあり、怖い病気のイメージがある方もいるかもしれません。

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍ができる原因不明の病気です。腹痛下痢血便が長期にわたり起き、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

薬物治療で大半は症状の改善や消失を認めます、再燃する場合も多いため、継続的な薬物治療が必要と言われています。

この記事では大腸の働きや潰瘍性大腸炎の原因、症状、検査、治療法について消化器内科専門医がわかりやすく解説しますので参考にしていただければ幸いです。

1 そもそも腸とは何をするところか

大腸は管状の臓器で、小腸の次の臓器です。

長さは約1~2メートル程度で、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の順で構成されています。

主な働きは、小腸から送られてきた消化物の水分の吸収し、便を形成します。

大腸に炎症や癌ができることで、正常な大腸の働きができなくなり、下痢、便秘腹痛血便などの症状が生じます。

2 潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の最も内側の層の粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍ができる病気です。

その結果、腹痛下痢血便などの症状が長期にわたって起こり、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

病変の広がりによって、直腸炎型、左側結腸炎型、全大腸炎型に分けられ、排便回数や血便の有無によって、軽症、中等症、重症に分けられます。

大腸内視鏡検査の画像や、本人の問診での訴えから医師が診断します。

3 潰瘍性大腸炎の現状

潰瘍性大腸炎の患者数は増加傾向にあり、日本で22万人の患者数と言われています。若い方を中心に子供から老人まで幅広い年齢で発症すると言われています。

4 潰瘍性大腸炎の原因・リスク

潰瘍性大腸炎の原因は、免疫反応や腸内細菌によるものが疑われていますが、現時点ではまだ正確な原因やリスクはよく分かっていません。

5 潰瘍性大腸炎の症状について

潰瘍性大腸炎の症状は、下痢や粘液便、便回数の増加、血便(血が混ざった便)、腹痛、発熱、貧血などがみられます。

症状は長期にわたり、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。病変の広がりと重症度によって症状は左右されます。

また腸以外の症状として、関節や目、皮膚などに症状が現れることがあります。

6 潰瘍性大腸炎の検査について

6.1 血液検査

血液検査では、炎症反応(CRP、白血球数、赤沈)や貧血(ヘモグロビン)、栄養状態(アルブミン)などの数値を評価します。潰瘍性大腸炎では炎症反応が上昇していることがあります。

6.2 下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)

大腸内視鏡検査は潰瘍性大腸炎の診断に欠かせない検査で、肛門から大腸内視鏡を挿入して大腸内を直接観察します。

潰瘍性大腸炎に特徴的な炎症の所見があるかどうかや、炎症の程度や炎症の範囲を観察します。その後大腸粘膜を一部採取する生検によって病理診断(顕微鏡の検査)を行います。

大腸内視鏡検査の画像

当院では苦しまない眠ったままの大腸内視鏡検査が可能です。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

6.3 便検査

便に血液が混ざっていないか調べる便潜血検査や、便の中に細菌がいないか調べる便培養検査が行われます。

その他、カルプロテクチンというたんぱく質を調べることで、炎症の程度を評価することができるようになりました。

6.4 CT検査

病変の範囲を調べたり、腸管外合併症を調べたりすることができます。

患者さんにとって負担の少ない検査ではありますが、潰瘍性大腸炎は大腸壁の一番浅い粘膜層のみの炎症の病気のため、CTで詳しく評価することは困難で、その点では大腸内視鏡検査に劣ります。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでもCT検査を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。

7 潰瘍性大腸炎の治療について

潰瘍性大腸炎の治療は薬物による内科的治療がメインとなります。内科的治療に効果がない場合や重症の一部では手術が必要となる場合があります。

7.1 薬物治療

薬物治療で用いられる薬には様々なものがありますが、まずは5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤を用いて症状のコントロールを図ります。

一部の製剤は特殊な加工がされており、大腸内で放出されるようになっています。5-ASA製剤の効果が不十分な場合や重症の場合はステロイド製剤の投与が行われます。

これらの製剤には座薬や注腸製剤があり、炎症が直腸やS状結腸中心の場合に使用されることがあります。

5-ASAやステロイド製剤に効果がない場合や再燃する場合は、免疫抑制剤・調整剤や生物学的製剤・JAK阻害薬などの投与が行われます。

薬物治療で大半は症状の改善や消失をしますが、再燃する場合も多いため、継続的な薬物治療が必要と言われています。

7.2 手術

薬物治療が無効の場合や、大量の出血を起こした場合、大腸に穿孔(穴があく)を起こした場合、癌を合併した場合には手術治療が行われます。

大腸を全部切除し、人工肛門を作る場合もありますが、近年では小腸で便をためる袋を作り肛門へつなぐ手術も行われています。

7.3 血球成分吸着・除去療法

5-ASAやステロイド製剤に効果がない場合や再燃する場合に行われることがあります。

注射針で手の血管より血液を連続的に採取して、血液中の活性化した白血球をカラムと呼ばれる医療機器で吸着・除去して、別の血管から血液を戻します。

8 潰瘍性大腸炎の予防について

潰瘍性大腸炎の原因は不明であり予防法についてははっきりしたものは分かっていません。

現時点でわかっていることとしては、食事では野菜や魚を積極的に摂取し、加工肉や赤身肉を少なくすることや、定期的な運動が予防に役立つとの報告も近年あり、生活習慣の是正が大切であると考えられます。

9 潰瘍性大腸炎を放置すると

潰瘍性大腸炎を放置すると血便による貧血で輸血が必要になったり、最悪大腸穿孔により緊急手術が必要となったりする場合があります。

10 潰瘍性大腸炎の患者様の経過の例

10.1 32歳男性

以前から下痢症状が出やすく、半年前から粘液便や下痢が続いていた。最近になって、排便時に血便もみられるようになったため、当院を受診した。血液検査では炎症反応の上昇を認めた。

大腸内視鏡検査を行ったところ、直腸からS状結腸にかけて潰瘍性大腸炎の所見を認め、生検を施行した。大腸内視鏡検査と病理診断の結果から、潰瘍性大腸炎、左側結腸炎型、軽症の診断となった。

5-ASA製剤を投与したところ、排便回数の低下、粘液便や血便は消失した。半年以上経過し、症状の再燃なく経過している。

11 潰瘍性大腸炎の症状かなと思ったら

長期にわたって下痢や粘液便、便回数の増加、血便(血が混ざった便)腹痛、発熱、貧血症状などに気づかれた方は、必ず一度消化器内科を受診しましょう。

新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、潰瘍性大腸炎の適切な検査、診断が行えます。治療が必要な場合は適切な病院へご紹介いたします。

詳しくは当院医師、スタッフまでお気軽にお尋ねください。

12 診療費用

当院は全て保険診療です。初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
CT検査 5000円前後
尿流量動態検査 1500円
膀胱鏡検査 3000円
胃カメラ 4000円前後
大腸カメラ 5000円前後

※3割負担の場合

この記事を執筆した人
久田裕也
医師 久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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