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へそから膿や液が出るのはなぜ?「尿膜管遺残症」という意外な原因について

はじめに

「へその周りが⾚く腫れる」「膿が出る」「服にイヤな臭いがつく」「⽪膚科で薬を出されたが炎症を繰り返す」……こうした症状で受診される⽅の中には、実は⽪膚の病気ではなく、尿膜管遺残症(にょうまくかんいざんしょう)という病気だったというケースも多いのです。これは当院の専⾨(泌尿器科)とする分野であり、これまで多くの症例について診療させていただきました。

尿膜管というのは、胎児期にだけ存在する“へそと膀胱をつなぐ管”のこと。本来なら⽣まれる前に役⽬を終え閉じるはずの組織ですが、まれに残ったまま⼤⼈になり、炎症や感染・膿の排出・痛みなどの症状を引き起こすことがあります。

ネット検索で「へそ 膿」「おへそ 臭い」などと調べて当院を受診される⽅も増えており、適切に診断されるまで数ヶ⽉〜数年かかったというケースも少なくありません。

尿膜管とは?

胎児はお⺟さんのお腹の中で、尿を膀胱からへそ側へ排出する仕組みを持っています。その通路が「尿膜管」で、誕⽣までに役割を終えて閉鎖し、ひも状の線維組織になります。

ところが、この閉鎖が不完全なまま残ると、内部に空洞が残り、そこに細菌感染が起こったり、膿が溜まったり、へそから液体が漏れたりします。これをまとめて尿膜管遺残症と呼びます。

なぜ⼤⼈になって症状が出るのか

尿膜管遺残症は先天的な構造異常ですが、症状が出るのは10代〜40代以降というケースが多いと⾔われています。
理由としては、下記が考えられています。

  • 成⻑とともに閉じたはずの尿膜間に空洞(袋状・トンネル状)が⽣じる
  • 免疫低下・ストレスで感染が起こる
  • 運動・摩擦などでへそに刺激が加わる
  • 膿がたまり袋状に膨らみ、破れて排出される

よくみられる症状

以下のうち複数が当てはまる場合、尿膜管遺残症を疑う必要があります。

よく⾒られる症状
✅  へそから膿やにおいのある液が出る
✅  へその周囲が⾚く腫れる
✅  下腹部に鈍痛・違和感がある
✅  市販薬・⽪膚科外⽤剤で改善しない
✅  膀胱炎を繰り返す

尿膜間遺残症が⾒逃されやすい理由

尿膜管遺残症は、⽪膚科や内科で治療され続けるケースが多い疾患です。理由はシンプルで、「へそのトラブル=⽪膚の問題=⽪膚科や内科」と⾒られがちだからです。

しかし、繰り返すへその炎症・膿が出る・悪臭という症状は、尿膜管遺残症の典型的な症状です。
「塗り薬や消毒で治ったと思ったが何度も再発する」という相談は、当院でも頻繁に⾒られます。

尿膜管遺残の種類

尿膜管遺残は、形態により⼤きく4種類に分けられます。

  1. 尿膜管開存…膀胱と臍がつながったまま
  2. 尿膜管嚢胞(のうほう)…中間部分が袋状に残る
  3. 尿膜管洞(どう)…臍側だけ開いている
  4. 尿膜管憩室(けいしつ)…膀胱側に残り、膀胱炎の原因に

これらは症状の出⽅が少しずつ異なり、診断には画像検査が⽋かせません。

 

検査の流れ(新橋消化器内科・泌尿器科の場合)

当院では、様々な検査を組み合わせて最短で診断することが可能です。症状や状態に応じて、以下の検査をスピーディーに実施します。

1.超⾳波検査(エコー)

お腹に機械をあてて臍の下から膀胱の⼿前までの⾛⾏を確認します。尿膜間が残っていないか、膿がたまっていないかを確認します。

2.CT検査

エコーでは確認しづらい深部の炎症や膿の広がり、膀胱とのつながり(尿膜管開存)を正確に評価でき、治療⽅針を決定するために有効です。

3.⾎液検査

体内でどの程度炎症が起きているかを調べます。発熱や痛みがある場合、全⾝性の炎症がないかも確認できます。

4.尿検査

尿膜管はもともと膀胱とつながっていた組織のため、炎症が膀胱側に広がっていないか、膀胱炎⾎尿が起きていないかを確認する⽬的で⾏います。

5.膿培養検査(膿がある場合)

膿に含まれる細菌を特定し、効果の⾼い抗⽣剤を選択するために⾏うことがあります。再発防⽌や薬剤選択の精度を⾼めるために選択される検査です。

尿膜管遺残症の治療

尿膜管遺残症の治療は、まず炎症を抑える段階と、その後に再発を防ぐための根治治療という⼆段階で進みます。

はじめに、⾚み・腫れ・痛み・膿などの炎症がある場合には、抗⽣剤の内服や点滴で細菌感染を抑え、膿がたまっているときには膿を排出する処置を⾏います。これはあくまで「症状を落ち着かせる治療」であり、炎症を⼀時的に抑えるためにおこないます。

次に炎症が治まったあと、再発を防ぐために尿膜管を摘除する⼿術を検討します。尿膜管が体内に残っている限り、再び炎症や膿が起こる可能性があるため、根本的な治療には⼿術が必要となります。現在は腹腔鏡⼿術が主流で、従来の⼿術に⽐べて傷が⼩さく、回復も早いことが特徴です。

尿膜管遺残症ではなかった場合の治療

検査の結果、尿膜管遺残ではなく⽪膚炎・細菌感染・粉瘤(アテローム)などが原因だった場合は、それぞれの疾患に応じた治療が⾏われます。

1.⽪膚炎・細菌感染が原因の場合

外⽤薬や抗⽣剤の内服治療を⾏います。
ただし、へその奥に炎症が続いている場合は、消毒や塗り薬だけでは治らず、膿を外に出す処置(切開・排膿)や抗⽣剤の点滴などが必要になることもあります。

2.粉瘤(アテローム)が原因の場合

粉瘤は⽪膚の内部に袋状のできもの(嚢腫)ができ、そこに⾓質や⽪脂が溜まって⼤きくなる良性腫瘍です。
炎症や腫れが強い場合は、まず切開して中⾝を出して炎症を落ち着かせますが、根本的な治療は袋(嚢腫)そのものを取り除く処置が必要になります。

放置するとどうなる?

  • 臍炎・膿の再発を繰り返す
  • 膀胱炎・腎盂腎炎の原因になる
  • 囊胞が破裂し強い痛みが出ることも
  • ごく稀に、尿膜管がんへ悪性化するケースが報告されている

症状が軽いうちに診断することが、治療の負担を最⼩限にするポイントです。

受診をおすすめするサインチェック

✅  へそから膿・液体が出て、繰り返す
✅  抗⽣剤や塗り薬で治っても再発する
✅  服に⻩⾊いシミ・臭いがつく
✅  下腹部に鈍痛や違和感がある
✅  膀胱炎を年に何度も繰り返す

ひとつでも当てはまる場合、尿膜管遺残症の可能性があります。

よくあるQ&A

1.⼦どもの病気ですか?⼤⼈でもなりますか?

→先天的な構造異常ですが、症状が出るのは⼤⼈になってからのほうが多いです。

Q2.放置しても⾃然に治りますか?

→⾃然に治癒することはほとんどなく、再発を繰り返します。

Q3.⼿術は必ず必要ですか?

→感染を繰り返す、嚢胞がある、膿が続く場合は⼿術が推奨されます。

Q4.⼿術は新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでできますか?

→当院では診断まで対応し、⼿術は連携病院を紹介させていただいておりますので、ご安⼼ください。

Q5.へその掃除をしていたら悪化しました。関係ありますか?

→強くこすった刺激で炎症が悪化することがあります。無理に触らないでください。

まとめ

へそのトラブルは⽪膚のトラブルと思われ、「いつものこと」と軽視されがちです。
しかし、中には尿膜間遺残症という病気が隠れていることもあり、放置することは危険です。

尿膜間遺残症は泌尿器科(当院)の専⾨分野です。院内には超⾳波検査機器とCT検査機器を備えておりますので、当⽇中に確定診断や処置までおこなう事が可能です。
⼿術や専⾨的な処置が必要になった場合には適切な連携施設に紹介させていただきます。

へその症状を繰り返す⽅は、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックまでお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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