⼤腸カメラ検査(⼤腸内視鏡検査)について
最近なんとなくお腹の調⼦が悪いと感じることはありませんか?
例えば、「便秘や下痢が続いている」「便に⾎が混じる」「お腹が張る、あるいは絶えず痛む」「ご飯が進まない」「原因はわからないけれど体重が減りつづけている」など、⼀⾒するとわずかな体調の変化に⾒えることも、実は⼤きな病気のサインの可能性があります。
そうした「⾒えにくいリスク」に早めに気づくためにも、大腸の中を直接カメラで観察することができる⼤腸カメラ検査(⼤腸内視鏡検査)を受けることは⾮常に有効です。
1 ⼤腸とは
⼤腸は、⼩腸の終わりに繋がった器官で、盲腸、上⾏結腸、横⾏結腸、下⾏結腸、S 形結腸、直腸の各部位に分けられます。
⼤腸の働きは、⾷べ物から⽔分を吸収し、便を形成し、最終的に排出するまでの事前準備を担う⼤切な役割を持ちます。
この部位には、ポリープや炎症、病変など、さまざまな形で疾患が現れるため、異常がないか定期的に検査が必要な部位の⼀つです。
2 ⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)とは
⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)とは、肛⾨から内視鏡(スコープ)を挿⼊し、直腸から盲腸までの⼤腸全体を直接観察する検査です。スコープの先端には⾼性能のカメラとライトが付いており、腸の内側の粘膜をリアルタイムで詳細に確認することができます。
粘膜にできた⼩さなポリープや炎症、出⾎、腫瘍などを⽬で⾒て確認することができ、病変があればその場で組織を採取(病理組織検査)したり、⼩さなポリープであればその場で切除したりすることも可能です。
かつては「痛い」「苦しい」といったイメージのあった検査ですが、近年では機器の進化や鎮静剤の使⽤によって、患者様の負担は⼤きく軽減されるようになりました。
3 ⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ)の必要性
⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)は、⼤腸がんをはじめとしたさまざまな病気を早期に発⾒し、適切な治療へとつなげるために⾮常に有⽤な検査です。⽇本では近年、⼤腸がんの罹患率および死亡率が増加傾向にあり、特に40 歳以上の⽅は定期的な検査が推奨されています。
⼤腸がんは、初期の段階ではほとんど症状が現れず、気付いたときには進⾏していることも少なくありません。そのため、症状の有無にかかわらず、定期的に検査を受けることが早期発⾒の⼤きな⼀歩となります。
また、下痢や便秘、⾎便、腹部膨満感、原因不明の体重減少など、⽇常的な不調の背後に重⼤な病気が隠れている可能性もあります。⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)によって、腸の中の状態を直接確認できるため、これらの症状の原因を正確に把握し、治療⽅針を⽴てることができます。
さらに、⼤腸ポリープのように、放置するとがん化する可能性がある病変も少なくありません。⼤腸内視鏡検査中にポリープが発⾒された場合、⼤きさにもよりますがその場で切除することができ、将来的ながんを未然に防ぐことにも繋がります。
このように、⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)は「病気の発⾒」だけでなく、「予防」としても⼤きな役割を担う重要な検査です。
4 ⼤腸内視鏡検査で発⾒できる病気
4-1 ⼤腸がん
⼤腸がんは⽇本で最も多い癌のひとつであり、特に50 歳以降にリスクが⾼まります。早期にはほとんど症状がないため、発⾒が遅れると進⾏してしまう可能性があります。⼤腸内視鏡検査では、微⼩な癌やその前段階である異形成(普通の形から外れている状態)を的確に捉えることができ、内視鏡的切除によって治癒が期待できることもあります。
4-2 ⼤腸ポリープ
大腸ポリープは⼤腸の粘膜にできる隆起性病変で、良性のものが多いですが、中には将来的にがん化する可能性のある「腺腫性ポリープ」も存在します。特にこの腺腫性ポリープは、放置してしまうと数年かけて⼤腸がんに進⾏するケースもあるため、早期の発⾒と切除が⾮常に重要です。⼤腸内視鏡検査中に発⾒された場合、その場で切除できることも多く、癌の予防にもつながります。
4-3 潰瘍性⼤腸炎・クローン病
潰瘍性大腸炎やクローン病はいずれも炎症性腸疾患と呼ばれる慢性疾患で、10 代から30 代の若年層に多く⾒られます。腹痛・下痢・⾎便といった症状を繰り返すのが特徴で、進⾏すると腸管の狭窄や穿孔(⽳があくこと)を起こすこともあります。⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)によって炎症の広がりや重症度を確認し、治療⽅針の決定に役⽴てます。
4-4 感染性腸炎
細菌やウイルス、寄⽣⾍などによって引き起こされる急性の腸炎で、下痢や腹痛、発熱などの症状を伴います。⼤腸内視鏡で粘膜の炎症や出⾎の有無を直接確認することで、感染の種類や重症度の判定が可能になります。
4-5 虚⾎性腸炎
腸の⾎流が⼀時的に低下することで起こる疾患で、中⾼年の⼥性に多く⾒られます。突然の腹痛や⾎便をきっかけに発⾒されることが多く、内視鏡により腸粘膜の⾊調変化やびらん、潰瘍の範囲を確認できます。
4-6 憩室炎
⼤腸の壁に袋状の膨らみ(憩室)ができる状態で、⾼齢者に多く⾒られます。
憩室⾃体は無症状のことが多いものの、感染や出⾎を起こすと「憩室炎」「憩室出⾎」となり、強い腹痛や⾎便の原因になります。内視鏡で正確な部位や出⾎元を特定し、適切な治療につなげます。
4-7 その他、偶発的に発⾒されることのある病気
⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)では、腸管⾃体の病気に加えて、検査中に偶発的に別の病気が⾒つかることがあります。代表的なものが「痔核(いぼ痔)」です。特に出⾎を伴う場合には、癌や炎症との鑑別が必要となります。
内視鏡によって直腸付近の状態を観察することで、痔の有無や程度を確認できます。また、まれに⼦宮内膜症の腸管浸潤や、肛⾨周囲の⽪膚疾患が発⾒されることもあります。
5 新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでの⼤腸内視鏡検査
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、患者様が安⼼して検査を受けられるよう、患者様ひとりひとり異なる背景をしっかりと鑑み、最適な検査や治療のご提案と、分かりやすい説明を⼼がけています。検査前の下剤はご⾃宅で服⽤していただくため、リラックスした環境下で準備を進めていただくことができます。
また、鎮静剤を使⽤した検査を⾏うため、眠っているような状態で検査を受けていただくことができ、不安や苦痛を感じない検査環境を提供することが可能です。
当院では、富⼠フイルム社製の内視鏡システムを導⼊しています。
このシステムは、複数の⾼出⼒LED照明を使い、粘膜の微妙な⾊の違いを強調したり、⾎管や表明構造などの観察に適した画像を表したりすることができます。
そのため、内視鏡医が病変の性状をその場で評価しやすくなるため、正確な診断と迅速な対応が可能です。
6 検査の流れ(新橋消化器内科・泌尿器科クリニック)
当院の⼤腸内視鏡検査は、初めての⽅でも安⼼して受けていただけるよう、説明を⼗分に⾏い、丁寧な対応を⼤切にしています。
① 外来受診
外来診察の際に⾃覚症状や既往歴、現在内服されている薬などを詳しく確認します。その上で検査⽇を決定し、検査の流れや注意事項について医師や看護師より詳しく説明させていただきます。
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② 検査前⽇の準備
前⽇は、脂質や⾷物繊維を抑えた専⽤の「⼤腸内視鏡検査専⽤検査⾷」をお召し上がりいただきます。
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③ 検査当⽇(腸管洗浄)
当⽇はご⾃宅で朝から腸管洗浄液を服⽤していただきます。服⽤⽅法の説明動画をQRコードにしたものをお渡ししますので、ご⾃宅でも安⼼して服⽤していただくことができます。腸がきれいになったらクリニックまでご来院いただきます。
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④ 検査前準備と鎮静剤
ご来院後は検査着に着替えていただき、腕に点滴をしてから鎮静剤を⼊れます。鎮静剤を⼊れる事でウトウトとした状態で苦痛なく検査を受けることができます。
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⑤ 検査実施
検査時間は約15 分程度。⼤腸全体をくまなく観察し、必要に応じてポリープの切除や⽣検(病理組織検査)もその場で⾏います。
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⑥ 検査後の休憩と結果説明
検査後はリカバリールームでゆっくりとお休みいただきます。⽬が覚めた後に、内視鏡画像を⽤いながら医師が結果を丁寧に説明します。
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⑦ ご帰宅
鎮静剤を使⽤しますので、検査当⽇の運転は控えていただいております。ご帰宅後も不安があれば、いつでもご相談ください。
7 終わりに
⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)は、⼤腸がんをはじめとするさまざまな疾患の早期発⾒・早期治療に役⽴つ⼤変重要な検査です。
⾃覚症状が少ない段階でも病気が進⾏していることがあるため、「便の調⼦が気になる」「お腹の違和感が続く」など、わずかな変化を感じた段階で医療機関を受診することが体に負担のかからない段階での治療に繋がります。
新橋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、苦痛を最⼩限に抑えた⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)を⼼がけています。胃カメラ(胃内視鏡)との同時検査も可能です。
消化器の症状で気になる事があれば、どんな⼩さなことでもかまいませんので、お気軽に当院までご相談ください。

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の泌尿器科と消化器科の外来診察を行う
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。